今回のEDAサロンのお題はユニコーン企業のデータである。ユニコーン企業と聞くと、どうしても米国、特にシリコンバレーの企業をイメージするが、実際に他の国とくらべて圧倒的な数の差なのだろうか?それと、最近は中国でAI関連の開発が急成長している等の報道もあるが、これはユニコーン企業としても同じ傾向なのどろうか?こうした疑問に答えるべくEDAをしてみる。
ユニコーン企業の数の割合を産業毎に見て見ると、米国(青色)が中国より割合が多い産業が多い事がわかる。ちなみにAIを見ると、中国の企業(赤色)は27%と多いものの米国(青色)の50%よりは少ない。日本(緑色)は、2%であるが、これはPreferred Networks社である。Edtech、Hardware, Mobile & Telecomunications、Auto & Transportationといった産業は中国の企業の割合が米国のそれより多い。なお、E-Commerceは100%中国であるが、ここにカテゴライズされているユニコーン企業は3つしかなく、すべて中国の企業のために、赤くなっているので注意が必要である。同様にBI & Analyticsの米国企業1社しかここに分類されていないので、100%となっている。
これを評価額ベースで比較すると、同じAIを見てみると、今度は中国62%強、米国が28%と先ほどの件数ベースでの比較と逆になっていることが分かる。
中国の場合は米国よりAI領域のユニコーン企業数は少ないが、評価額が大きいということは、1企業あたりの評価額がかなり高いということだろう。実際にバーチャートで産業毎の平均の評価額を見てみると、AIでは中国の評価額が85.3億ドル、米国が21億ドルと大分差があるのが確認できる。
平均だと特定の企業の大きな評価額に影響を受けているかもしれないので、中央値で比べてみると、それでも中国の方が米国より評価額が高いことがわかる。
ではAIの領域で、ユニコーン企業数は年を追う毎に増えているのだろうか?特に中国と米国で比較してみよう。
上が中国、下が米国であるが、件数で見ると中国は2018年の5社をピークに2019年は1社に減っているのが分かる。一方米国は2016年からは順調にユニコーン企業数が増えていっているのが分かる。
次に評価額の年ごとの変化を見てみると、中国は2017年にスパイクしているが、これはTik Tokを持つBytedance社の750億ドルという評価額の影響である。先程の評価額の平均値に大きく影響していたのはこのBytedance社だったことが分かった。
全体的にはまだ米国が中国をユニコーン企業数ではリードしている。Edtech、Hardware, Mobile & Telecomunications、Auto & Transportationといった領域では中国企業の割合が米国企業のそれより多い。またAIの領域では、 Bytedanceのような高い評価額を付けている会社もでてきてはいる。(BytedanceをAIとカテゴライズすべきなのか議論の余地はありそうだが。。) AI領域は、2018年以降は中国は若干数字が下がっているので、引き続き米国のリードが続くのかが気になるところである。