ネットMRRチャーン率

SaaSビジネスにおいて、ネットMRRチャーン率はMRR(月間定期収益)の減少率を表す重要な指標です。

この指標は、既存顧客の再契約による増収を考慮したうえで、解約やプランのダウングレードによる収益の損失の割合として計算されます。

ネットMRRチャーン率は、MRRがどの程度の割合で失われているか、すなわちビジネスの全体的な健全性を理解したいときに有効な指標のため、特にサブスクリプションベースのビジネスの経営陣、ファイナンス部門、カスタマーサクセスチームにとって、事業の持続可能性を評価する上で欠かせない指標となっています。

月次あるいは四半期ごとに定期的なモニタリングすることが多く、これは、顧客との関係性の変化や収益構造の変動を早期に把握し、必要な施策を講じるために重要です。

そしてネットMRRチャーン率は、以下のような計算をもとに求められます。

ネットMRRチャーン率の計算方法

データの概要

今回は、あらかじめ、とあるSaaSの収益データを使ってネットMRRチャーン率を計算していきます。

データはこちらのページからダウンロードできます。

このデータは、一行が特定の年月を表していて、列には収益に関する以下の情報があります。

  • MRR: 月間定期収益。顧客/購読者から得られる総収益
  • ニューMRR: 新規顧客からの月間定期収益
  • 既存顧客からのMRR: 既存顧客からの月間定期収益
  • リアクティベーションMRR: 購読を再開したユーザーの月間定期収益
  • チャーンMRR: 購読のキャンセルによって逸失した月間定期収益
  • エクスパンション(MRR): 既存顧客のプランのアップグレードによってよる増収
  • コントラクション(MRR): 既存顧客のプランのダウングレードによってよるた減収

ネットMRRチャーン率の計算

今回のサンプルデータにはネットMRRチャーン率の計算に必要な全ての指標が揃っているため、チャーンMRRの列ヘッダーメニューから、「計算を作成」、「標準」を選択します。

計算の作成のダイアログが開いたら、計算エディ((チャーンMRR + エクスパンション) - リアクティベーションMRR) / lag(MRR)と入力します。

なお、lag関数は前の行の値を取得する関数になるため、lag(MRR)という計算式で、前月の顧客から得られた収益を計算できるわけです。

最後に、「新しく列を作成」にチェックが付いていることを確認したら、列名を「キャンセル率」に設定のうえ、「この列の後に作る」を「(最後の列)」に設定して、実行します。

ネットMRRチャーン率を計算できました。

Export Chart Image
Output Format
PNG SVG
Background
Set background transparent
Size
Width (Pixel)
Height (Pixel)
Pixel Ratio