前回はMRR(月間定期収益)など収益に関連するいくつかの指標について取り上げました。今日はその中でも新規顧客からの月間定期収益であるニューMRRをもたらすコンバージョンについて深掘りしていきます。
少し考えてみると当たり前のことですが、顧客はある日、突然顧客になるわけではなく、多くの場合トライアルやリードと呼ばれる見込み顧客のステージを経て、サービスの購読を開始します。このように見込み顧客が有料顧客になることをコンバージョンと呼びます。
そしてコンバージョンは、見込み客から新規顧客となった人の割合を計算することで、その効率を測ることができます。この指標のことをコンバージョン率と呼びます。
例えば、12人の見込み顧客のうち、3人がコンバートした場合、コンバージョン率は25%となります。
ではコンバージョン数を増やすために、どのような方法があるかというと、下記の2パターンに分けることができます。
1つは、よりサービスの価値を感じてもらいやすい見込み客を集客したり、サービスやプロダクトの改善を通してコンバージョン率を改善することです。
そして、もう1つの方法が広告等のプロモーションなどにより、見込み客の数を増やすという方法です。費用がかかることにはなりますが、コンバージョン率が変わらない限り、見込み客が増えれば増えるほどコンバート数は増えるわけです。
ではコンバージョン率の改善とリードを増やすこと、どちらが重要なのでしょうか。
これはビジネスのステージや状況にもよるため一概にどちらの方が良いという話はありません。
ただし多くの場合、リードを増やすためには費用がかかります。せっかく費用をかけてリードを増やしても、獲得効率が悪ければ費用の無駄使いになってしまうので、まずはコンバージョン率の改善から着手から始めることが多いと言えます。
ここからは実際にコンバージョン数やコンバージョン率を計算する方法を簡単に紹介します。
今回は以下のように、1行がとあるSaaSサービスのトライアルに申し込んだ1人の見込み顧客を表しており、列には、顧客IDや、トライアルを開始した日、コンバートしているかどうかを表すようなデータを使って見ていきます。
このデータではコンバートした顧客は「コンバージョン」列の値が「Yes」になっています。
仮に月ごとのコンバージョン数やコンバージョン率を計算したければ、コンバージョンが「Yes」の値の数や「Yes」の割合を計算することで、それぞれのデータを集計することが可能です。
このような計算をするときには、「コンバージョン」の列が「ロジカル型」だと、「TRUEの数」を集計したり、「TRUEの割合」を集計して、コンバージョン数やコンバージョン率を計算できます。
そこで、「コンバージョン」の列ヘッダーメニューから「データタイプを変換」、「Logical(ロジカル)型に変換」を選択します。
すると、計算を作成のダイアログが表示されるので、そのまま実行します。
str_logicalは、ロジカル型のデータに変換するための関数ですが、Yes/Noあるいは、1/0のような値しかとらないようなデータでは、特別な設定をする必要がありません。
一方で、Yes/No、あるいは1/0のような値をとるようなデータではなく、例えば、はい/いいえのような値を持つ場合には、true_value
の引数からTRUEに変換したい値を指定することも可能です。
計算を作成のダイアログを実行すると、「コンバージョン」列がロジカル型に変換されたことを確認することができました。
これで必要なデータを可視化することができたので、チャートビューに移動し、チャートタイプに、ラインチャートを選択します。
X軸には「トライアル開始日」を選択し、今回は月ごとにコンバージョン数やコンバージョン率を計算したので、日付の単位には「月」で切り捨てを選択します。
続いて、Y軸には「コンバージョン」を選択します。
このとき、コンバージョン数を計算したければ、集計関数に、「TRUEの数」を選択し、コンバージョン数を計算したければ、集計関数に、「TRUEの割合」を選択します。
今回は、コンバージョン率を計算したいので、集計関数に、「TRUEの割合」を選択することで、コンバージョン率を可視化できました。
最後に、チャートの軸を調整します。
チャートの設定メニューを開き、Y軸メニューから、「0をY軸に含む」をアンチェックのうえ、適用します。
これで、ラインチャートの変化をよりわかりやすく捉えられるようになりました。
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