日本の食品自給率の遷移を可視化する

目的

  • 食品自給率の推移 (変化率) でみた時に、日本は世界でどのくらいの位置付けなのかを確認する
  • 食品自給率の推移(変化率)が高い国と低い国で地理的な特徴は存在はしているかを分析する
  • 食品自給率が低下している要因となっている食物は何かを分析をする

使用するデータセット

各国の食品バランスシートが年度ごとに入っているデータ (Food Balance Sheets) を使用します。 http://www.fao.org/faostat/en/#data/FBS

分析

まずは、以下の式を用いて各年度ごとの食品自給率を輸入依存率を年度ごとに算出します。

SSR (食品自給率) = (生産:production÷(生産:production+輸入:Imports-輸出:exports))×100

IDR= (輸入:Imports÷(生産:production+輸入:imports-輸出:exports))×100

そして 各エリアごとに SSR と IDR の変化率を以下の式で算出します。

(記録されている最後の年度の SSR - 記録されている最初の年度の SSR) / 記録されている最初の年度の SSR

(記録されている最後の年度の IDR - 記録されている最初の年度の IDR) / 記録されている最初の年度の IDR

SSR 変化率上位40件のエリアのSSR 変化率をバー・プロットで表示すると以下のようになります。

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マップでマッピングすると、ヨーロッパ諸国や南米、オーストラリア付近が多いことが分かります。もともと農業大国として知られるエリアがほとんどですね。

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今度は逆にSSR 変化率下位40件を見てみます。NOTE に挿入すると見えなくなってしまいますが、日本はおおよそ下から35番目くらいに位置しています。

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マップをみてみると、アラブ諸国やアフリカの地域が多いことが分かります。こう言った国は、石油資源等の工業資源を多く保有していますし、農業するための土壌が少ないために輸入に頼っていったことはなんとなく分かります。もともと日本は稲作を代表として作物を育てやすい環境にも関わらず、 そう言った国々と同程度に食品自給率が低下する方向に進んでしまっています。

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今度は日本だけで SSR と IDR の変化をみてみます。 計算式から自明ですが、SSR と IDR は反比例しています。

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計算式の元になっている、輸入量と輸出量と生産量を見てみると、輸出量は緩やかに低下し、輸入量は1963年からほぼ毎年増加しています。生産量に関しては、1990年を境に減少の一途をたどっています。

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輸入・輸出・生産量でそれぞれ項目ごとの遷移を見ていきます。

[輸入量] 輸入量をみると圧倒的にビールを除いた穀物の輸入が増えていることが分かります。

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[輸出量]

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[生産量] 輸入量に応じて穀物の生産量が減少の一途をたどっていることが分かります。

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結論

  • 食品自給率の変化率で見ても日本は世界のなかで上位
  • 食品自給率の変化率が上位のエリアはやはりもともと農業が盛んなヨーロッパや南米、オーストラリア付近の地域
  • 逆に食品自給率の変化率が下位のエリアは、アフリカやアラブ諸国等の工業資源を多く保有するエリア。そのなかでも工業資源に乏しい日本は特殊。
  • 日本の食品自給率に最も大きな影響を及ぼしているのは、穀物(ビール以外)
    • 輸入量は増加し、生産量は低下している