事業再構築補助金というコロナの影響を受けた事業者に対する補助金があります。
認定経営革新等支援機関と一緒に事業計画を作成することが1つの要件になっています。
この認定経営革新等支援機関には、金融機関や税理士、中小企業診断士、民間のコンサルティング会社など多様な職業が登録されています。
この記事を書いているのは、事業再構築補助金9回目の申請締め切りが終わり、8回目の採択結果を待ちつつ、10回目の申請に向けて準備をしているタイミングです。
気になったことは「認定経営革新等支援機関の選び方でそこまで採択率に差が出るのか?」です。
まだ、8回目の採択結果は現時点で出ていないので7回目までのデータですが、簡単に事業再構築補助金について振り返りながら書いてみます。
以下のデータは、事業再構築補助金の公式HPから入手した資料を加工しています。公募回ごとに都道府県別で応募件数や採択件数を集計しました。その他は令和3年の経済センサスなどからデータを入手しています。
公募1〜7回目の応募件数を表したグラフです。当初から右肩下がりで、1回目から7回目にかけて3割ほど減少しています。
応募件数の減少に関わらず、採択件数は横ばいに近いです。
結果的に、採択率は回を重ねるごとに増加しています。不採択でも粘っていれば、いつか採択されそうです。逆に言えば半々で採択なので、連続で不採択の場合、よほど引っかかっていることがあるとも思えます。
事業再構築には、コロナの影響が特別に大きい事業者のための「特別枠」というものがあります(途中から名称は変わっていますが)。この特別枠は公募回にあまり関係がなく、高い採択率を推移をしています。一方で通常枠は回を重ねるごとに採択率がアップしています。全体の傾向と一致してます。
ちなみに、特別枠は補助上限額は少し低く、通常枠はそれよりも高めに設定してあります。
公募回ごとの各都道府県の採択率をヒストグラムという分布図にしてみます。極端に高いところや低いところも気になりますが、採択率は40〜50%に集中しています。
先ほどのヒストグラムを公募回ごとに色分けしたグラフです(密度曲線)。分布全体が徐々に右方向へスライドしています。そして、公募回が進むごとに少し尖った形になっています。全体の採択率は公募回が進むにつれ上昇し、都道府県間の差は縮まっているようです。
47都道府県を8つのエリアに分け、公募回ごとの採択率の推移を見てみます。
やはり、公募回が進むと採択率が上がる傾向は同じようです。応募件数が減っても、各都道府県ごとで一定の採択枠があるのでしょうか?本当に計画書や会社の内容だけで審査すればばらついても良いような気もしますが。
ちなみに、北海道や東北、九州エリアは全体的な採択率は低いように見えます。
公募6〜7回目をみると中部地方の採択率がとても高いようです。
統計的に各エリアの差があるかどうかを見るグラフです。大きくは3つのグループがありそうです。
直近2回の公募で、採択率が55%を超えている都道府県に絞って見てみると、中部地方は、ほぼ全ての都道府県で採択率が良いようです。良い会社が多いのか?良い支援者が多いのか?
公募回が進むにつれ、特別枠以外は採択率は上昇傾向にあり、若干の地域差はありそうです。しかし、地域は今更どうしようもないので支援者である認定支援機関について見てみます。
認定支援機関の登録種別ごと(少しグルーピングはしました)の応募件数と採択数、採択率をグラフにしました。
認定支援機関の確認書を金融機関にお願いするケースもあるので、金融機関の区分には他の区分が混ざっていますが、とはいえ応募件数及び採択件数は金融機関がダントツです。次いで税理士。
しかし、採択率で見ると以下がトップ5です。
公募回が進むごとに採択率がどう推移するかを示すグラフです。
中小企業診断士と金融機関は4回目以降から採択率が上がっています。公益財団法人はやたら採択率が高いままです。
「認定経営革新等支援機関の選び方でそこまで採択率に差が出るのか?」が気になって調べて見ましたが、先に示したトップ5の認定支援機関にお願いするのであれば、採択率の差は誤差の範囲かと思います。それよりも、エリア差は諦めて、どのコースに申請するのかという方が採択率に大きく影響するのではないかと思います。