アンケートの5段階評価を正確に数値化する方法 - リッカートシグマ法

アンケート調査では、「とても悪い」から「とても良い」までの5段階評価(リッカート尺度)が広く使用されています。これらの回答を分析する際、単純に1から5の数値に置き換えるのが一般的ですが、より精密な分析が必要な場合は「リッカートシグマ法」という手法が有効です。

5段階評価を数値として扱う際の問題点

ビジネスや調査研究でよく使用される5段階評価(リッカート尺度)には、データ分析時に以下のような重要な問題点があります:

  1. 等間隔性の欠如

    • 「とても満足」と「やや満足」の感覚的な距離
    • 「やや満足」と「どちらでもない」の感覚的な距離
    • これらの選択肢間の距離が等しいという保証がない
  2. 単純な数値変換の限界

    • 「とても満足」=5点、「やや満足」=4点という単純な変換
    • この方法では回答者の実際の評価の強さを正確に反映できない
    • より詳細な分析や比較を行う際に正確性を欠く可能性がある

リッカートシグマ法とは何か

リッカートシグマ法は、段階的な評価を、より正確な数値データに変換する手法です。この方法の特徴は:

  1. 標準正規分布の活用

    • 回答の分布を統計的な標準分布に対応させる
    • 各評価段階の境界を分布上で明確に定義
    • より精密な数値変換を可能にする
  2. 回答傾向の反映

    • 実際の回答の分布から、選択肢間の適切な距離を推定
    • より正確な比較・分析が可能なデータを生成
    • 回答者全体の傾向を考慮した変換を実現

活用例

  • 顧客満足度調査の詳細分析
  • 従業員エンゲージメント調査
  • 商品・サービスの評価
  • イベント・研修の参加者アンケート
  • 市場調査や意識調査

リッカートシグマを使って標準化する方法

今回は1行1回答者の顧客満足度調査のデータを使用します。

例えば、サービスの使いやすさでは、以下のような分布となっています。

これをリッカートシグマを使って標準化をしていきましょう。サービスの使いやすさの列から「数値関数を使う」の「標準化(likert_sigma)」を選択します。

計算を作成のダイアログが表示され、計算エディタにはlikert_sigmaといった関数が使われていることがわかります。

実行することで、サービスの使いやすさの列がリッカートシグマ法によって標準化されました。元の5段階評価の値から変化していることがわかります。

リッカートシグマ法を使ったことによって、各値(1~5)は分布をもとにして選択肢間の適切な距離を推定された値に変わっています。

先ほどは1つの列で実行していきましたが、一気に全ての設問の列で標準化していきましょう。

シフトキーを押しながら対象となる設問の列を複数選択し、「数値関数を使う」の「標準化(likert_sigma)」を選択します。

計算を作成の複数の列のダイアログが表示されたため、そのまま実行ボタンをクリックします。

全ての設問の列をリッカートシグマ法を使って一気に標準化することができました。

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