AI プロンプトでPPM分析を行う方法

PPM分析(Product Portfolio Management)は、企業が複数の事業や製品を持っている場合に、それぞれの事業をどのように運営・投資すべきかを判断するための経営分析手法です。

X軸に「自社の相対シェア(最大競合と比較した相対的な強さ)」、Y軸に「市場の成長率」を取り、事業を4つの象限に分類します。これにより、どの事業に資金を投入すべきか、どの事業から撤退すべきかを戦略的に判断できます。

PPM分析では、各製品や事業について以下の2つの指標を計算します:

  • 市場の成長率 = (今年の市場規模 - 前年の市場規模) / 前年の市場規模
  • 相対シェア = 自社の売上 / 最大競合の売上

これらの指標をもとに、事業は以下の4つに分類されます。ただし、この分類の基準となる成長率やシェアのしきい値は、業界特性や企業の戦略に応じて調整できます。

  • 花形: 市場成長率が高く、相対シェアも高い事業。将来の主力事業として積極的な投資が必要です。
  • 金のなる木: 市場成長率は低いものの、相対シェアが高い事業です。安定的に利益を生み出すセグメントです。
  • 問題児: 市場成長率は高いものの、相対シェアが低い事業です。投資により花形に育てるか、撤退を検討する必要があります。
  • 負け犬: 市場成長率も相対シェアも低い事業のため、撤退や縮小を検討すべき候補です。

PPM分析における戦略的境界線の定義

PPM分析を単なる分類で終わらせず、客観的な数値指標(しきい値)に基づき「お金と時間の使いどころ」をより的確に判断するためには、明確な境界線の設定が重要です。

相対シェア: 市場での「勝ち負け」の判定

X軸の相対市場シェアのしきい値には100%に設定します。

相対シェアが1.0(100%)を超えている場合、自社の売上が最大競合を上回っている状態を意味します。

これは市場のリーダーとしての地位を示し、大量生産や販売の効率が最も良いため、同じ製品を売ってもライバルより利益が出やすく、手元に現金が残りやすい「勝ちパターン」の状態です。

一方、100%未満の場合は、自社の売上が最大競合を下回っている追随者の立場です。リーダーに比べると効率が悪く、利益が出にくい傾向にあります。

ただし、1.0(100%)に近いほど「あと一歩で首位」であり、集中的な投資で逆転を狙う価値がある状態といえます。

市場成長率: 投資の「攻め」と「引き」を分ける二段階の基準

Y軸の市場成長率は、投資の基準と市場の寿命の二段階で捉えます。

投資の基準となる成長率は企業や業界の状況に応じて設定すべきもので、一般的には「銀行の利息よりは高く、会社が最低限達成したい成長率」を目安とします。

本ノートでは例として10%を使用しますが、この値は「これ以下の伸びしかない市場には、大きな投資はしない」という会社独自のハードルとして、目的に応じて調整してください。

積極投資圏(投資基準より上、例えば10%以上)は、市場が急激に伸びている領域です。

将来の稼ぎ頭を作るため、今はお金を使ってでもライバルを追い越し、シェア100%未満の場合、100%以上を目指して「攻める」べきフェーズです。

利益回収圏(0% 〜 投資基準の間、例えば0%〜10%)は、市場が落ち着いた「成熟期」です。

大規模な設備投資などを控え、効率よく稼ぐことに専念します。ここで貯めた現金を、他の伸びている事業へ回す「金庫」の役割を担います。

衰退・撤退圏(0%未満)は、市場そのものが縮小している領域です。たとえシェアが1.0を超えて業界1位であっても、いずれ市場と共に消えていく事業です。追加投資は一切せず、残った利益を回収しながら、段階的に撤退や売却を検討します。

相対シェアと市場成長率の掛け合わせ分析:4象限+1領域の戦略マップ

相対シェアのしきい値100%と、市場成長率のしきい値(例:10%)、そして市場縮小の境界となる0%を組み合わせることで、最終的に事業を以下の5つの領域に分類できます。

花形(相対シェア100%超かつ成長率10%超): 市場リーダーとして積極投資を継続すべき事業です。高成長市場でトップシェアを維持・拡大することで、市場が成熟した際に金のなる木へと移行します。

金のなる木(相対シェア100%超かつ成長率0%〜10%): 効率的に利益を回収し、他事業への資金源とします。大規模な追加投資は控え、安定的なキャッシュフロー創出に専念します。

問題児(相対シェア100%未満かつ成長率10%超): 選択的に投資してシェア100%突破を目指すか、撤退を判断します。成長市場であるため投資価値はありますが、資源は限られているため優先順位付けが重要です。

負け犬(相対シェア100%未満かつ成長率10%以下):** **市場成長性が低く、シェアも低い事業です。撤退や縮小、または売却を検討すべき候補となります。特に市場が縮小している場合(成長率0%未満)は、早急な意思決定が必要です。

緩やかな撤退検討領域(相対シェア100%超 かつ 成長率0%未満): 市場そのものが縮小している領域です。たとえシェアが100%を超えて業界トップであっても、市場と共に縮小していく運命にあります。追加投資は一切せず、残った利益を回収しながら、段階的に撤退や売却のタイミングを見極めます。従来の4象限では「金のなる木」と混同されがちですが、戦略的には明確に区別すべき特殊な領域です。

PPM分析の活用

PPM分析を活用することで、企業は限られた経営資源を最も効果的に配分できます。

各事業の現在の位置づけと将来性を客観的に評価することで、感覚や経験だけに頼らない戦略的な意思決定が可能になります。特に、複数の事業や製品ラインを抱える企業において、ポートフォリオ全体のバランスを最適化し、持続的な成長と収益性を両立させることができます。

また、事業間での資金の流れを明確にし、「金のなる木」から得られるキャッシュを「花形」や有望な「問題児」に再投資するといった、戦略的な資源配分の意思決定を支援します。

必要なデータ

PPM分析を実行するには、事業や製品を一意に識別できる情報が必要です。

製品カテゴリー名、事業単位名(BU、ビジネスユニットなど)、製品ライン名、サービス区分など、分析対象を明確に区別できる分類項目を用意します。

また、成長率を計算するためには時系列データが不可欠です。年または日付の情報を含むデータを用意することで、前年比での成長率の計算が可能になります。

さらに、市場と自社の実績を示す数値データが必要です。市場規模として業界全体または対象市場の総売上額、自社の売上として各製品・事業における自社の売上額、そして最大競合の売上として同じ市場における最大競合他社の売上額を準備します。

AI プロンプトを使って、PPM分析を行う

今回は、1行が1つの製品カテゴリーの年次データを表すデータを使って、AIプロンプトで製品カテゴリーごとのPPM分析を行います。(データはこちらからダウンロードいただけます)

データには、年、製品カテゴリー、市場規模、自社の売上、最大競合の売上などの情報が含まれています。

まず始めに「AI データ加工」のボタンをクリックします。

AI プロンプトのダイアログを開いたら、以下のようなテキストを入力し、実行します。

PPM分析を実行して

するとPPM分析をするためのコードが生成されます。

使用している関数の説明や期待される結果を確認し、「ステップとして実行」ボタンをクリックします。

ステップが追加されPPM分析のためのデータを作成できました。

続いて、チャートでPPM分析の結果を可視化します。

チャートビューに移動して、チャートのタイプに「散布図(集計なし)」を選択し、X軸には相対シェアを選択し、Y軸には市場規模の成長率を選択します。

この時点では全ての年のデータが表示されるので、フィルターを追加して、最新年のデータにフィルタします。

列には日付の列を選択し、演算子には「等しい」を指定します。

今回は最新年の情報のみを表示したいので、値のタイプには「年」を選択し、「集計関数」の「最後の年(max)」を選択します。

このように設定することで、自動的に最新のデータのみが残ります。

また、各事業は売上が異なりますので、サイズに自社の売上を指定することで、視覚的にそれぞれの事業の売上規模も一目で分かるようになります。

次に、戦略的な意思決定を支援するために、重要な境界線を基準線として追加します。

まず、X軸の単位をパーセント表記に変更するために、 チャートの設定アイコンを選択し、軸のメニューからフォーマットを「%」に変更して適用します。

同じようにY軸のフォーマットも「%」に変更して適用します。

次に、X軸の相対シェア100%の境界線を追加します。

チャート上部にある基準線の追加ボタンを選択し、X軸のメニューから「特定の値」を選択します。

基準線の設定ダイアログが開いたら、値に「100」と入力します。これはX軸のフォーマットをパーセント表記に変更したためです。

必要に応じて、ラベルに「市場リーダー基準」などのテキストを入力し適用することで、マウスカーソルを基準線に合わせると、基準線の意味を確認できます。

次に、Y軸の市場成長率0%の境界線を追加します。チャート上部にある基準線のボタンを再度クリックして、Y軸のメニューから「特定の値」を選択します。

基準線の設定ダイアログが開いたら値に「0」と入力し、適用します。

さらに、投資判断の基準となる境界線を追加します。今回は投資基準を市場成長率10%に設定するため、再度チャート上部にある基準線の追加ボタンをクリックし、Y軸のメニューから「特定の値」を選択します。

基準線の設定ダイアログが開いたら値に「10」と入力します。

ラベルに「積極的投資基準」などのテキストを入力することで、マウスカーソルを基準線に合わせると、基準線の意味を確認できます。

これで戦略的な境界線を含むPPM分析チャートが完成しました。

最後に、ラベルに事業名を選択して、「値を表示」にチェックを付けます。

このとき、ラベルの重なりが気になる場合は、チャートの設定アイコンをクリックします。

チャートの設定ダイアログが開いたら、「値」タブに移動し、「値を表示」のメニュー内の位置を「自動」に変更し、適用することで、各値の表示を整えることが可能です。

この結果から、各製品カテゴリーがどの象限に位置するかを確認できます。

相対シェア100%と市場成長率0%、10%の境界線により、以下のような戦略的判断が可能になります。

特に注意すべきは、右下(相対シェア100%超かつ成長率0%未満)に位置する製品です。一見すると市場リーダーですが、市場そのものが縮小しているため、追加投資を避け段階的に撤退を検討すべき事業となります。

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