データとして移動計算を行う方法

移動計算とは、指定した期間(ウィンドウ)内のデータを使って計算を行う方法です。時系列データのトレンドを把握したり、短期的な変動を平滑化したりする際に活用されます。代表的な移動計算には「移動平均」がよく使用されます。

Exploratoryでは、「チャート内」または「データラングリングのステップ」として移動計算を実行することが可能です。

チャートでの移動計算

チャートでの移動計算の方法については、こちらをご覧ください。

データラングリングのステップでの移動計算

移動計算した結果を可視化だけに使いたいときは、チャート内の移動計算が活用できます。

しかし、移動計算した結果をデータとして持ちたい、または移動計算後のデータに対して新たな計算をしたい時には、データラングリングのステップとして移動計算を行うことも可能です。

そこでこのノートでは、データラングリングのステップとして移動計算を行う方法を紹介します。

移動平均を求める

例えば、下記のように銘柄ごとに各日の株価が記録されたデータがあったとします。

ここでは、銘柄ごとに「株価(adjusted)」の「移動平均」を求めて新しく列を作りたいです。

株価(adjusted)の列ヘッダメニューから「表計算を作成」の「移動計算」を選び、「平均値(MEAN)」を選択します。

表計算のダイアログが表示され、株価の移動平均を求めた新しい列(adjusted_moving_mean)が作成されています。

デフォルトでは7行分のウィンドウで移動平均が計算されています。もし期間を変更したい場合は、値の部分にある緑色のテキストをクリックすることで、ウィンドウサイズを変更できます。

例えば、25日間の移動平均を計算したい場合は、ウィンドウサイズを「25」に変更することで可能です。

株価の移動平均を求めた列の名前が「adjusted_roll_mean」となっているため、列名を変更するため「列名を指定する」にチェックをつけることで列名の変更ができます。

しかし、この状態では銘柄を跨いで移動平均が求められてしまっています。

もし、銘柄のようにグループごとに分けて計算したい場合は、「グループ」に列を選択します。

今回は銘柄ごとに移動平均を計算したいため、グループに「symbol」を選択しています。

これにより銘柄ごとに株価の移動平均が計算され、銘柄を跨いで移動平均が求められていないことが確認できます。

実行することで、銘柄ごとに株価の移動平均を求めて新しく列として作成することができました。

移動中央値を求める

移動平均は外れ値の影響を受けやすいため、より頑健な統計量として移動中央値を使いたい場合があります。

同じ株価データで、銘柄ごとに「株価(adjusted)」の「移動中央値」を求めてみます。

株価(adjusted)の列ヘッダメニューから「表計算を作成」の「移動計算」を選び、今度は「中央値(MEDIAN)」を選択します。

もしすでに表計算のステップを作成している場合は、ステップのトークンをクリックします。

表計算のダイアログが表示されました。

値に「adjusted」の列を割り当て、表計算の設定には以下のように指定します。

  • 計算のタイプ: 移動計算
  • 集計関数: 中央値(MEDIAN)

移動中央値を求めた列が作成されているのが確認できます。

実行することで、移動中央値の列を新規で追加することができました。

移動中央値は極端な値の影響を受けにくいため、急激な価格変動があった場合でも安定したトレンドを把握できます。

移動最大値を求める

特定期間内の最大値を追跡したい場合は、移動最大値が便利です。

同じ株価データで、銘柄ごとに「株価(adjusted)」の「移動最大値」を求めてみます。

株価(adjusted)の列ヘッダメニューから「表計算を作成」の「移動計算」を選び、「最大値(MAX)」を選択します。

もしすでに表計算のステップを作成している場合は、ステップのトークンをクリックします。

表計算のダイアログが表示されました。

値に「adjusted」の列を割り当て、表計算の設定には以下のように指定します。

  • 計算のタイプ: 移動計算

  • 集計関数: 最大値(MAX)

移動中央値を求めた列が作成されているのが確認できます。

実行することで、移動中央値の列を新規で追加することができました。

その他の移動計算

移動計算では、平均値、中央値、最大値以外にも以下の計算が可能です。

  • 合計値(SUM): 指定期間の合計値

  • 最小値(MIN): 指定期間の最小値

  • 標準偏差(SD): 指定期間の標準偏差(ボラティリティの測定に便利)

  • 分散(VAR): 指定期間の分散

  • 積(PROD): 指定期間の積

参考資料

今回は、「移動計算」について紹介していきました。

移動計算を含む、表計算については他にも参考資料がありますので、ご興味がありましたらぜひご覧ください。

  • セミナー #82 表計算の紹介 - リンク
  • 時系列データ分析 Part 2 - 表計算を使った可視化 - リンク
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