アンケートデータにおける5段階評価の回答には、単純な数値化では表現できない心理的な距離の問題があります。このような課題に対して、リッカートシグマ法を用いることで、回答における心理的な距離を統計的に調整し、より正確な分析を行うことができます。
5段階評価を1から5の単純な数値として扱う場合、以下のような問題が発生します。
回答における心理的な距離が等しいという保証がありません。例えば、「とても不満」から「不満」への距離感と、「どちらでもない」から「満足」への距離感は異なる可能性があります。
単純な数値化(1,2,3,4,5)では、各段階間の距離が等しいものとして扱われてしまい、回答者の実際の心理的な距離感を反映できません。
今回は1行1回答者の顧客満足度調査のデータを使用します。
例えば、サービスの使いやすさでは、以下のような分布となっています。
これをリッカートシグマを使って標準化をしていきましょう。サービスの使いやすさの列から「数値関数を使う」の「標準化(likert_sigma)」を選択します。
計算を作成のダイアログが表示され、計算エディタにはlikert_sigmaといった関数が使われていることがわかります。
実行することで、サービスの使いやすさの列がリッカートシグマ法によって標準化されました。元の5段階評価の値から変化していることがわかります。
リッカートシグマ法を使ったことによって、各値(1~5)は分布をもとにして選択肢間の適切な距離を推定された値に変わっています。
先ほどは1つの列で実行していきましたが、一気に全ての設問の列で標準化していきましょう。
シフトキーを押しながら対象となる設問の列を複数選択し、「数値関数を使う」の「標準化(likert_sigma)」を選択します。
計算を作成の複数の列のダイアログが表示されたため、そのまま実行ボタンをクリックします。
全ての設問の列をリッカートシグマ法を使って一気に標準化することができました。