半年かかっていたIR業務を約10日に

山形大学が実現した、再現可能で引き継げるデータ分析

山形大学では、学生の成績、入学・卒業、アンケート、論文情報など、さまざまなデータをIR業務に活用しています。

以前は、Excel、R、Access、Power BIなど、複数のツールを使い分けながら、データの加工、分析、可視化、レポート作成を行っていました。しかし、作業が複数の環境に分散していたことに加え、Excel上で行った処理の手順が残らず、担当者が変わると同じ分析を再現することが難しいという課題がありました。

Exploratoryの導入後は、データのインポートから加工、分析、可視化、レポート作成までを一つの環境で実施しています。データ処理の内容がステップとして記録されるため、新しい年度のデータに差し替えて同じ処理を再実行したり、別の担当者が過去の分析手順を確認したりできるようになりました。

従来は半年ほどかかっていた業務が、現在では約10日で実施できるようになったケースもあります。単に作業時間を短縮するだけでなく、担当者個人の経験や記憶に依存していたIR業務を、組織として繰り返し活用し、引き継げる分析プロセスへと変えています。


山形大学におけるExploratoryの活用

山形大学では、Exploratoryの利用用途の約8割をIR業務、約2割を研究支援が占めています。

IR業務では、アンケートなどによる間接評価だけでなく、大学独自のテストなどによる直接評価も活用し、学生の学習成果や教育活動の状況を把握しています。

主に扱っているのは、次のようなデータです。

  • 約6,000科目のGPAや成績分布
  • 入学者、卒業者に関するデータ
  • 入試倍率、出身地、男女比などの入試データ
  • 出身高校の所在地や進学先に関するデータ
  • 授業アンケート、入学者アンケート
  • 在学生支援に関するデータ
  • 論文情報
  • 文部科学省や総務省などが公開しているデータ
  • 全国的な進学動向に関するデータ

これらのデータは、形式や更新頻度がそれぞれ異なります。単純な集計や時系列での推移確認が中心であっても、実際に分析を始める前には、項目名や値の整理、欠損値の確認、複数データの結合など、多くの準備作業が必要になります。


導入前の課題

複数のツールを行き来する分析業務

Exploratoryを導入する以前は、CSVで受け取ったデータをまずExcelに読み込み、目的に応じて複数のツールを使い分けていました。

データの確認や加工にはExcelやAccess、分析にはRやExcel、可視化や共有にはPower BIを使うといった形です。

インポート、整形、分析、可視化、レポート作成がそれぞれ別の環境に分かれていたため、分析そのものだけでなく、ツール間でデータや分析結果を受け渡す作業にも手間がかかっていました。

担当者ごとに利用するツールが異なることも、業務を複雑にしていました。ある担当者はExcel、別の担当者はAccess、別の担当者はRを使うといった状況では、データを人から人へ渡す過程で、どのファイルが最新版なのか、どこまで処理されたデータなのかが分からなくなることがあります。

途中の状態に戻って確認しようとしても、必要なファイルや処理手順が残っていないため、再現できないこともありました。


分析よりも、データを整理する作業に時間がかかっていた

大学で扱うデータには、受け取ってすぐに分析できる形に整っていないものも多くあります。

列の内容を確認し、回答や値の分布を把握し、欠損値や不自然な値がないかを確認したうえで、必要に応じて複数のデータを結合しなければなりません。

山形大学でも、分析方法を検討すること以上に、「データをどのような形に整理するか」という部分に多くの時間がかかっていました。

以前はデータの内容を確認するために、項目ごとにピボットテーブルを作成することもありました。列数が多いデータでは、全体像を把握するだけでも相当な作業量になります。


Excelの集計結果は残っても、作り方が残らない

過去に作成されたExcelの表を渡され、「これと同じものを別の年度についても作ってほしい」と依頼されることもありました。

しかし、完成した集計表やピボットテーブルが残っていても、その表を作る前にどのような加工や判断が行われたのかは分かりません。

どのファイルを元にしたのか、どの列を除外したのか、どの条件で絞り込んだのか、複数のデータをどのように結合したのかといった手順が残らないため、同じ結果を再現することが難しくなります。

結果として、「前の担当者に聞いてください」という形で引き継がれることも少なくありませんでした。


人事異動による属人化と業務継続のリスク

日本の大学では、定期的な人事異動を前提として業務を設計する必要があります。

担当者ごとに利用するツールや分析方法が異なり、その手順が記録されていない場合、担当者の異動とともに分析方法も失われてしまう可能性があります。

特定の担当者だけが、どのデータを使い、どのような加工を行い、どのようにレポートを作成したのかを把握している状態では、継続的なIR業務を組織として維持することができません。

山形大学にとって、分析作業の効率化だけでなく、作業手順を見える形で残し、次の担当者へ引き継げる環境を作ることが重要な課題となっていました。


Exploratoryを選んだ理由

データ加工からレポート作成までを一つの環境で行える

Exploratoryでは、データのインポート、加工、結合、集計、可視化、分析、レポート作成までを一つの環境で行えます。

以前のように複数のツールを行き来する必要がなく、分析に必要な処理を一つのプロジェクトの中で管理できます。

元のデータ、データを加工した手順、作成したチャートや分析結果、最終的なレポートが同じ環境につながっているため、分析全体の流れを把握しやすくなりました。


作業手順がステップとして記録される

Exploratoryでは、フィルタリング、計算、集計、結合などのデータ処理が、実行した順番にステップとして記録されます。

どのデータに対して、どのような処理を行ったのかを後から確認できるだけでなく、ステップの順番を変更したり、処理を複製したり、別のプロジェクトへ移動したりすることもできます。

Excelのセル操作やコピー&ペーストとは異なり、分析結果だけでなく、そこに至るまでの過程を残せることが大きな違いです。

山形大学では、このステップによる作業手順の記録を、業務を継続するうえでの「大きな財産」と評価しています。


Rをベースにしている

山形大学では、IR人材向けの履修証明プログラムでRを教えています。

ExploratoryはRを基盤として動作しているため、大学で行っている人材育成や既存の分析環境との親和性が高いことも、導入理由の一つでした。

Rの分析能力を活用しながら、データ加工や可視化の処理をUI上で確認できるため、分析手順を他の担当者へ説明したり、教育に活用したりしやすいというメリットもあります。


導入後の分析プロセス

Exploratoryの導入後は、データの準備からレポート作成までを、一つの流れとして管理できるようになりました。

まずデータをインポートし、サマリ・ビューで各列の状態を確認します。次に、必要なデータ加工や結合をステップとして追加し、集計や分析、可視化を行います。最後に、作成したチャートや説明文をノートにまとめ、関係者に共有します。

以前は複数のツールに分かれていた作業が、現在は一つの分析プロセスとしてつながっています。

導入前

CSVを受領→ Excelで内容を確認→ ExcelやAccessで加工→ RやExcelで分析→ Power BIなどで可視化→ ファイルやレポートを共有

導入後

データをインポート→ サマリ・ビューで状態を確認→ ステップで加工・結合→ 集計・分析・可視化→ ノートでレポートを作成→ 学部や担当者に共有

データの準備からレポート作成までを同じ環境で行い、すべての処理を再実行可能な形で残せるようになりました。


データ整理を効率化するサマリ・ビュー

IR業務では、分析に入る前に、データがどのような状態になっているのかを把握することが重要です。

Exploratoryのサマリ・ビューでは、データをインポートすると、各列の値の分布、欠損値、ユニーク値、代表値などが自動的に表示されます。

以前は項目ごとにピボットテーブルを作成して確認していた内容を、一つの画面からまとめて把握できるようになりました。

値の偏りや欠損、想定していなかったカテゴリーなどを早い段階で確認できるため、どのような加工や修正が必要なのかを判断しやすくなっています。

分析の前段階にあたるデータ整理の時間が短縮されただけでなく、データに潜んでいる問題を見落としにくくなったことも、サマリ・ビューを利用する大きなメリットです。


担当者の操作を、組織で引き継げる分析手順へ

Exploratoryでは、実行した処理がステップとして残るため、過去の分析を後から確認できます。

新しい年度のデータに更新する場合も、分析を一から作り直す必要はありません。元のデータを新しいものに差し替え、記録されているステップを再実行することで、同じ加工や集計を繰り返せます。

また、担当者が変わった場合でも、前任者が行った処理をステップから確認できます。

どのデータを結合したのか、どの条件で絞り込んだのか、どのような計算列を追加したのかが見えるため、完成した表だけを引き継ぐ場合と比べて、分析の意図や過程を理解しやすくなります。

これは単なる操作履歴ではありません。大学の中で積み重ねられてきた分析方法を、担当者個人の記憶ではなく、組織の資産として残す仕組みになっています。


具体的な活用例

入学者アンケートの集計レポート

入学者アンケートでは、設問番号を使ってデータを絞り込み、各設問に対応する個別チャートを作成しています。

作成した22問分のチャートは、一つのノートにまとめてレポートとして利用しています。

学部や担当者ごとに必要な情報が異なる場合には、内容の異なるノートを作成し、それぞれの関係者に共有しています。

一度レポートの構成を作成すれば、新しい年度のデータを読み込んで既存の処理を再実行することで、同じ形式のレポートを更新できます。


約6,000科目の成績分布分析

約6,000科目のGPAや成績分布を集計し、年度や学部などの単位で傾向を確認しています。

科目数が多いため、個別に表やチャートを作成するのではなく、同じ処理を多数の科目に対して適用できることが重要です。

Exploratoryでは、データを整理するステップと集計方法を一度作成すれば、対象となる年度やデータが変わっても、同じ分析プロセスを再利用できます。

単年度の状態を確認するだけでなく、時系列での変化を継続的に把握するための分析にも活用されています。


卒業・修了判定に伴う学生データの更新

学生ごとに「どのようなことができるようになったか」を示すデータを作成する業務では、卒業・修了判定が確定するまで、データが追加されるたびに同じ処理を繰り返す必要がありました。

Excelで処理していた場合には、データが更新されるたびに、加工、結合、集計などの作業を繰り返さなければなりません。

Exploratoryでは、新しいデータを再インポートし、すでに作成されているステップを再実行するだけで更新できます。

何度も発生する同じ手作業を、再利用可能な分析プロセスへ置き換えることができました。


導入による成果

半年かかっていた作業が約10日に

Exploratoryの導入によって、従来は半年ほどかかっていた学生の学習成果や教育活動の状況を把握するためのレポート、GPAや成績分布の分析レポート作成といった業務を、約10日で実施できるようになりました。

データの加工、統合、集計、レポート作成を一つのプロセスとして管理し、一度作成した処理を再利用できるようになったことが、大幅な時間短縮につながっています。

単純に一つひとつの操作が速くなったのではなく、以前は繰り返していた手作業そのものを行う必要がなくなったことが、大きな変化です。


約20のデータと数十の加工ステップを一人で運用

現在は、約20のデータをマージ・結合し、数十の加工ステップを実行する処理も、担当者一人で継続的に運用できるようになっています。

新しいデータを読み込んだ後は、すでに作成されているステップを再実行することで、一連のデータ処理が数秒で完了します。

以前は、データが更新されるたびに同じ加工や集計を手作業で繰り返していましたが、現在は一度作成した分析プロセスを何度でも利用できます。


結果だけでなく、作り方を残せるようになった

Exploratoryの導入による大きな成果の一つが、分析結果とともに、その結果に至るまでの手順を残せるようになったことです。

Excelでは、完成した表やグラフは残っていても、途中で行った操作や判断が記録されていないことがあります。

Exploratoryでは、データの加工や分析の手順がステップとして残ります。そのため、後から処理内容を確認し、必要に応じて修正し、同じ分析を再現できます。

山形大学では、この再現性を高く評価されています。

「Excelで同じ作業をやれと言われたら、もうできないと思います。処理の手順がステップとして残ることは、業務を継続していくうえで大きな財産です。」


人事異動があっても引き継げるIR業務へ

大学では人事異動を避けることはできません。しかし、担当者が変わるたびに分析方法が失われてしまう状態は、業務の継続性という点で大きなリスクになります。

Exploratoryでは、前任者が行った処理をステップから確認し、新しい担当者がその分析を引き継ぐことができます。

どのような手順でデータを加工し、どのような条件で集計し、どのようにレポートを作成したのかが見えるため、過去の成果物だけを渡す場合と比べて、引き継ぎがしやすくなります。

担当者個人の経験や記憶に依存していたIR業務を、組織として蓄積し、継続できる分析プロセスへ変えることができました。


担当者コメント

「以前は項目ごとにピボットテーブルを作って確認していましたが、サマリ・ビューを使うことで、データ全体の状態をすぐに確認できるようになりました。」

「新しいデータを読み込んでステップを再実行するだけで、数十の処理が数秒で完了します。」

「半年かけていた作業が、10日ほどでできるようになっています。」

「処理の手順がステップとして残ることは、業務を継続していくうえで大きな財産です。」


IR業務を、担当者個人の作業から組織の分析プロセスへ

山形大学では、Exploratoryを活用し、データのインポート、加工、分析、可視化、レポート作成までを一つの環境にまとめています。

データ処理の内容をステップとして記録することで、複雑な分析を繰り返し実行できるだけでなく、担当者が変わっても引き継げるIR業務の基盤を構築しました。

一度作成した分析を新しい年度のデータに再利用し、継続的にレポートを更新することで、IR業務の効率化と再現性を両立しています。

Excelや複数ツールに分散していた個人の作業を、組織として蓄積し、繰り返し活用できる分析プロセスへ。

山形大学では、Exploratoryを通じて、持続可能なIR業務の実現を進めています。


大学IRでのExploratory活用について

Exploratoryでは、大学IRで実際に使用しているデータや業務上の課題に合わせた、無料導入支援サービスを提供しています。

データの整理、定期レポートの作成、アンケート分析、成績データの集計、分析手順の引き継ぎなど、各大学の課題に応じて支援内容を設計します。

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