国際教養大学では、学内データを可視化したアカデミックデータブックをはじめ、留学前後の学生の心理的な成長を測るサーベイや、数理・データサイエンス・AI教育プログラムの自己点検評価など、さまざまなIR業務にExploratoryを活用しています。
以前はTableauとTableau Prepを利用していましたが、複雑なデータ加工にかかる手間や、閲覧者を増やすほどライセンス費用が増えることが課題となっていました。
Exploratoryの導入後は、データ加工から分析、レポート作成、学内共有までを一つの環境で管理。元データを更新するだけでダッシュボードやレポート全体を再現できる仕組みを構築しました。
さらに、これまで担当者が目視で行っていた授業評価アンケートの自由記述の分類をAI関数に置き換えるなど、IR業務の効率化と属人化の解消にも取り組んでいます。
閲覧者に対する追加のライセンス費用がないため、コストを気にせず、教員や職員へダッシュボードを共有できる環境を整備しました。
データ加工からチャート、ダッシュボード、レポート作成までの一連の処理を構築。次年度以降は、元データを更新するだけで最新のレポートを生成できます。
授業評価アンケートの自由記述を一件ずつ確認し、手入力していた分類作業をAI関数に置き換えました。過去の目視結果とおおむね同じ傾向が確認され、今後はAI関数で対応する方針が学内で承認されています。
国際教養大学は、国際的な教育環境を特徴とする大学です。教員の50%以上を外国人教員が占め、学部長や学科長にも英語話者が多く、学内の会議も英語で行われています。
また、学部生には1年間の海外留学が必須となっており、学生は留学を含むさまざまな経験を通じて学び、成長していきます。
こうした教育活動を支えるため、IR部門では、学生の学修状況や成長、教育プログラムの実施状況だけでなく、財務、入試、開講科目、履修状況など、学内の幅広いデータを扱っています。
現在、Exploratoryは主に以下のデータの分析や共有に利用されています。
Exploratoryを導入する以前、国際教養大学では、データの可視化にTableau Cloud、データ加工にTableau Prepを利用していました。
Tableau Prepは、画面上でデータの処理を組み立てていくため、処理が複雑になるほどフローが大きくなり、データや動作も重くなりがちでした。
特に課題となっていたのが、グループ単位で異なる処理を行うケースです。
Rであれば1行で記述できるようなグループ化処理も、Tableau Prepではグループごとにデータを分岐させ、それぞれに処理を行った後、再び結合する必要がありました。
分岐するグループが増えるほど処理の数も増えるため、作業に時間がかかるだけでなく、設定漏れや結合ミスなどのリスクも感じていました。
コードで書けば1行で済む処理でも、グループごとに分岐し、処理してから再度結合する必要がありました。分岐の数だけ作業が増えるため、ミスのリスクも感じていました。
国際教養大学では、学内データを可視化したダッシュボードを、役職付きの教員などに共有していました。
一方で、従来の環境ではダッシュボードを閲覧するためにViewerライセンスが必要でした。20人分のViewerライセンスの費用は、学内でデータ共有を進めていくうえで大きな負担となっていました。
今後、データを閲覧できる教員や職員を増やしたいと考えても、閲覧者が増えるほど費用も増える構造では、データ活用を組織全体へ広げていくことが難しくなります。
IR部門だけがデータを確認するのではなく、教員や職員が同じデータを見ながら議論できる環境をつくるためには、閲覧者数に左右されにくい共有基盤が必要でした。
授業評価アンケートでは、自由記述の内容から、受講者がその授業を他の人に薦めるかどうかを判定していました。
従来は担当者が一件ずつ自由記述を読み、内容に応じて次の値を手入力していました。
対象となるのは毎年3科目、延べ200〜300行です。
文章の内容を確認しながら判断し、数値を入力する必要があるため、時間がかかるだけでなく、特定の担当者の経験や判断に依存する作業となっていました。
製品の検討を進める中で、特に大きな選定理由となったのが、閲覧者に対する追加課金がないことでした。
従来の環境では、ダッシュボードを共有する相手が増えるほどViewerライセンスの費用も増えていました。これに対してExploratoryでは、閲覧者数を気にせず、必要な教員や職員にレポートやダッシュボードを共有できます。
国際教養大学が目指していたのは、IR部門だけがデータを扱う環境ではなく、組織内でデータを見られる人を増やし、データを中心としたコミュニケーションを活性化することでした。
この考え方が、Exploratoryが掲げる「データの民主化」と一致していました。
Exploratoryでは、データの加工、分析、可視化、レポート作成、共有までを、一つの環境で行うことができます。
Rを基盤としているため、複雑なデータ処理にも柔軟に対応できます。一方で、処理をすべてコードで記述する必要はなく、画面上の操作からデータ加工のステップを組み立てられます。
Rを利用してきた担当者にとっては、データ処理のステップがRのネイティブパイプでつながっていく感覚に近く、スムーズに作業できる点も評価されました。
Rが分かる状態でExploratoryを触ると、データ処理のステップをRのネイティブパイプでつないでいく感覚に近く、非常にスムーズです。Tableau Prepと比べても、ステップを組む処理がサクサクしています。
国際教養大学では、教員の50%以上が外国人であり、学内では日本語と英語の両方が使われています。
そのため、特定の言語だけで製品の使い方や分析方法が説明されていると、利用できる人が限られてしまいます。
Exploratoryでは、日本語と英語の両方でヘルプドキュメントが用意されています。日本語話者と英語話者のどちらかに運用を合わせる必要がなく、それぞれが必要な言語で情報を確認できることが、学内での活用を支えています。
教員の半数以上が外国人で、学部長や学科長も英語話者です。会議も英語で行われるため、日本語と英語のどちらでも大丈夫という状態が本当に助かっています。
国際教養大学では、学内のさまざまなデータを可視化したアカデミックデータブックを作成しています。
アカデミックデータブックはTableauを利用していた時代から作成されており、役職付きの教員へ共有されていました。Exploratoryへの移行後は、既存のダッシュボードやデータ処理をExploratory上で再構築しています。
対象となるデータは、教育関連の指標に限りません。
財務や会計、高校訪問、志願者数、開講科目数、セクション数、履修者数など、大学運営に関わる幅広いデータを扱っています。
これらのデータをダッシュボードとしてまとめることで、関係者は個別の資料を集めなくても、大学の状況を共通のデータから確認できます。
Exploratoryでは閲覧者に対する追加課金がないため、今後共有対象を広げる際にも、閲覧者数に応じてライセンス費用が増えることを心配する必要がありません。
アカデミックデータブックは、データを作成して提出するための成果物ではなく、学内の関係者が大学の状況を理解し、議論するための共通基盤となっています。
国際教養大学では、すべての学部生に1年間の海外留学が必須となっています。
学生が留学前後の経験を通じてどのように変化し、成長したかを確認するため、心理的な変化を測るサイコメトリックサーベイを実施しています。
調査結果は、Exploratoryのダッシュボードとしてまとめられています。
このダッシュボードでは、セッション・パラメーターを利用し、ログインした教員によって表示するデータを切り替えています。
担当教員がExploratoryへログインすると、その教員が担当する学生の情報だけが表示されます。ほかの教員が担当する学生の情報は表示されません。
これにより、教員ごとに個別のダッシュボードを作成することなく、一つのダッシュボードを複数の教員へ共有しながら、それぞれが閲覧できる範囲を制御できます。
セッション・パラメーターは、ユーザーがログインした際のユーザーIDなどのセッション情報を、レポート内のパラメーターとして利用する機能です。
ログインしているユーザーに応じてデータを絞り込むことで、同じダッシュボードを共有しながら、ユーザーごとに必要な情報だけを表示できます。
学生に関するデータのように、閲覧できる範囲を適切に管理する必要がある場合に有効です。
この仕組みは、国際教養大学が今後取り組みたいと考えている、よりパーソナライズされたアカデミックアドバイジングにもつながるものです。
国際教養大学では、文部科学省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」におけるリテラシーレベルの認定を受けたBUILDプログラムを運営しています。
BUILDプログラムでは、受講状況、修了状況、成績、授業アンケートなどをもとに、毎年、自己点検評価を実施しています。
評価結果は報告書として取りまとめ、ウェブ上で公開する必要があります。
国際教養大学では、報告書作成に必要なデータをExploratoryのダッシュボードとしてまとめ、学内の関係者へ共有しています。
教員や職員を含む複数の部署が同じダッシュボードを確認しながら、それぞれの担当部分を分担して報告書を作成します。
以前のように、担当者が個別にデータを集め、資料を作成してから関係者へ渡すのではなく、関係者が共通のデータを見ながら、確認や議論を進められる流れができました。
これは単なるレポート作成の効率化にとどまりません。
データを中心に複数部署が協働し、学内のコミュニケーションを円滑にする仕組みが生まれたことが、大きな成果となっています。
授業評価アンケートでは、受講者が記入した自由記述から、その授業を他の人に薦めるかどうかを分類しています。
従来は担当者が一件ずつ自由記述を読み、内容に応じて「1」「0」「-1」の値を手入力していました。
対象となるのは毎年3科目、延べ200〜300行です。
文章を読み、意味を判断し、数値として入力する作業は、単純な集計ではありません。時間がかかるだけでなく、判断の基準が担当者の経験に依存しやすい作業でもありました。
そこで国際教養大学では、ExploratoryのAI関数を使い、自由記述を次の3カテゴリに分類する処理を構築しました。
AI関数による分類結果を昨年までの目視結果と比較したところ、全体の傾向がおおむね一致していることが確認されました。
この結果を受けて、今後は自由記述の分類をAI関数で行う方針が学内で承認されました。
AIを導入すること自体を目的とするのではなく、過去の結果と比較して分類の傾向を確認したうえで、実際の業務に採用している点も、この活用の特徴です。
国際教養大学では、データの取り込みや加工から、チャート、ダッシュボード、レポート作成までの一連の処理を、Exploratory上に構築しています。
元データを新しい年度のデータに更新すれば、構築済みの処理が再実行され、ダッシュボードやレポートも最新の内容に更新されます。
そのため、毎年同じレポートを一から作り直す必要がありません。
BUILDプログラムの自己点検評価のように、毎年繰り返し実施する業務では、前年に作成した分析フローをそのまま再利用できます。
これまでのように、データを加工し直し、チャートを作り直し、レポートの形式を整えるところから始めるのではなく、データを更新して結果を確認した後、すぐに次の議論へ進める状態になっています。
昨年のレポートを作り直すのではなく、データを更新し、その先の議論へ進める。
再現可能な分析フローを構築したことで、担当者はレポートを準備するための作業ではなく、結果の解釈や改善策の検討に、より多くの時間を使えるようになりました。
国際教養大学が特に便利だと感じている機能の一つが、データ処理の流れを可視化するステップ・ダイアグラムです。
データの加工ステップだけでなく、複数のデータフレームにまたがる関係や、どのデータがどのレポートに利用されているかを、図として確認できます。
データ加工の処理が複雑になると、作成した本人であっても、しばらく時間が経った後に全体の流れを把握することが難しくなります。
また、処理をほかの担当者へ引き継ぐ場合、個々のステップだけを見ても、プロジェクト全体の構造を理解できるとは限りません。
ステップ・ダイアグラムを使うことで、データがどこから来て、どのような加工を経て、どのレポートに使われているのかを視覚的に確認できます。
さらに、AIを使ってデータ処理の流れを説明するレポートを自動生成する機能も、処理内容の理解や共有に役立っています。
データフローを可視化する機能や、AIでデータの流れを説明するレポートを自動生成する機能が、すごくいいと感じています。
これらの機能は、単に操作を分かりやすくするだけではありません。
データ処理を特定の担当者だけが理解している状態から、ほかの担当者も処理の流れを確認し、引き継げる状態へ変えていくうえで重要な役割を果たしています。
授業評価アンケートの自由記述を目視で確認し、分類結果を手入力する作業を、AI関数に置き換えました。
担当者が毎年同じ分類作業を繰り返す必要がなくなり、分類結果も再現可能なデータ処理の一部として管理できるようになりました。
データ加工からレポート作成までの処理が一連のフローとして構築されているため、元データを更新すれば、ダッシュボードやレポートも最新の内容に更新されます。
前年のレポートをコピーして手作業で修正するのではなく、同じ分析フローを再利用できます。
閲覧者に対する追加課金がないため、ライセンス費用を理由に共有対象を制限する必要がなくなりました。
役職付きの教員、プログラムを担当する教員や職員、学生を担当する教員など、用途に応じて必要な人へデータを共有できます。
セッション・パラメーターを使うことで、ログインしたユーザーに応じて表示するデータを切り替えられるようになりました。
教員ごとに個別のレポートを作成することなく、一つのダッシュボードを安全かつ効率的に共有できます。
BUILDプログラムの自己点検評価では、複数の教員や職員が同じダッシュボードを見ながら、役割を分担して報告書を作成しています。
IR部門がデータを集計し、完成した資料を渡すだけではなく、関係者がデータを確認しながら取りまとめを進める流れが生まれました。
Exploratoryの導入は、レポート作成の効率化だけでなく、学内のコミュニケーションを円滑にすることにもつながっています。
| 導入前 | 導入後 |
|---|---|
| 閲覧者を増やすほどViewerライセンスの費用が増える | 閲覧者数を気にせず学内へ共有できる |
| 自由記述を一件ずつ目視で分類 | AI関数でRecommend、Neutral、Not Recommendに分類 |
| 分類結果を手入力 | 分類結果をデータとして自動生成 |
| 毎年レポートを作り直す | 元データを更新してレポート全体を再現 |
| グループごとに処理を分岐し、再結合 | Rを基盤とした処理をステップとして構築 |
| 検証中と公開中のプロジェクトの管理が難しい | 作業用チームとパブリッシュ用チームで分離 |
| データ処理の流れを担当者が個別に把握 | ステップ・ダイアグラムで全体の流れを可視化 |
| 担当者が資料を作成して関係者へ共有 | 複数部署が同じダッシュボードを見ながら協働 |
| 教員ごとに個別のデータを用意する必要がある | セッション・パラメーターで担当学生だけを表示 |
国際教養大学では今後、アカデミックアドバイジングにおいても、データの可視化やダッシュボードを活用していくことを検討しています。
アカデミックアドバイジングは、学生自身が将来の目標を設定し、その達成に向けて、教職員や専門のアドバイザーが対話を通じて継続的に学習過程を支援する教育活動です。
学生一人ひとりの学修状況や成長の過程をデータとして確認できれば、すべての学生に同じ情報を提供するのではなく、それぞれの状況に応じた対話や支援につなげられます。
国際教養大学では、サイコメトリックサーベイにおいて、すでに担当教員ごとに表示する学生の情報を制御する仕組みを構築しています。
今後は、この仕組みや学内のさまざまなデータを組み合わせ、学生一人ひとりに合わせた、よりパーソナライズされた支援へ発展させていくことを目指しています。
国際教養大学におけるExploratoryの活用は、単なるBIツールの置き換えではありません。
複雑なデータ加工を再現可能な分析フローへ変え、毎年繰り返していたレポート作成や自由記述の分類を効率化しました。
閲覧者に対する追加課金がない環境を活かし、教員や職員がデータを確認できる範囲も広げています。
さらに、セッション・パラメーターによる閲覧範囲の制御や、チーム機能による検証環境と公開環境の分離によって、学内で継続的に利用できる運用体制も整えました。
その結果、IR部門がデータを集計し、完成したレポートを関係者へ渡すだけではなく、複数の教員や職員が同じデータを見ながら、議論し、役割を分担して業務を進められるようになっています。
Exploratoryは、国際教養大学におけるIR業務の効率化だけでなく、データを中心とした学内コミュニケーションと協働を支える基盤となっています。