採用活動において、空いているポジションの人員を採用できることが重要であることは言うまでもありません。
そして多くの場合、「採用ファネル」で表現される応募者の選考ステージが進むことで、候補者は入社に至ります。
言い換えれば、ファネルで表現される選考ステージごとの指標が、採用担当者のパフォーマンスを上げるために見ておくべき入社者数の「先行指標」となるわけです。
今回は、この採用ファネルの「選考」ステージに注目して、選考完了率について紹介します。
応募者は、採用サイト、社員紹介、キャリアフェアなど様々な経路で企業に応募しますが、応募者全員と常に面談ができているとは限りません。
そこで、どれだけの応募者と面談できているかの指標である選考完了数に注目するわけですが、その時々で応募者数には増減があるため、選考の実施状況を応募者数に左右されることなく比較できるように、実際には選考完了「率」をモニターします。
選考完了率をモニターすることで、例えば、採用プロセスにおいて、以下のような問題が生じていないかを理解できるようになります。
さらに、応募職種ごとに面談完了率を可視化して、完了率が低い職種を見つけたときには、採用プロセスの改善に取り組むことが可能です。
今回は以下の2つのデータを使って、選考完了率を作ったうえで、その推移を月ごとに可視化します。
1行が1つのポジションに対する応募を表していて、列には募集ID、応募ポジション、応募者ID、応募ソースなどの情報があります。
1行が募集者に対する選考の情報を表していて、列には応募者ID、各面接の実施日、各面接の結果、内定の受諾状況などの情報があります。
なお、2つのデータには「応募者ID」という共通する列があります。
今回の形式のようなデータが手元にある場合、以下の手順で、選考完了率を計算し、指標の推移を可視化できます。
まずは、応募データの「応募者ID」の列ヘッダーメニューから「結合」を選択します。
結合のダイアログが開いたら、結合先データフレームとして「選考」を選択します。
続いて結合キーに「応募者ID」が選択されていることを確認します。
プレビューを確認し、結果に問題がなければ実行します。
これで、応募者のリストに選考情報を追加できました。
例えば、一次面接を実施済みの顧客には、「一次面接の実施日」には値が入っているため、サマリカードを確認することで、応募者に対して、一次面接の選考完了率が92%であることが分かります。
続いて、「最終面接の実施日」に注目します。サマリカードを確認することで、最終面接を28人に対して実施していることは分かりますが、欠損値の割合は、全応募者に対する、最終面接の選考完了率になってしまいます。
最終面接の選考完了率は、「一次面接を通過した応募者のうち、最終面接を実施した応募者の割合になります。そこで、それぞれの月ごと人数を次のステップで集計します。
今回は月ごとに、一次面接と最終面接の選考完了率を計算したいので、以下の指標を集計します。
「応募日」の列ヘッダーメニューから「集計」を選択します。
集計ダイアログが開いたら、グループに「応募日」が選択されてることを確認したら、日付の単位に「月」で切り捨てを選択します。
続いて、値に「(行の数)」を選択し、列名を「応募者数」に変更します。
続いて一次面接の実施数を集計します。
一次面接を実施した人は「一次面接の実施日」に値が入っているため、非欠損値の(行の)数を集計することで、一次面接の実施数を集計できます。
そこで、値に「(行の数)」を選択し、集計関数に「条件にあった行の数(COUNT_IF)」を選択します。
条件の設定ダイアログが開いたら、列に「一次面接の実施日」を選択し、演算子に「欠損値(NA)でない」を選択します。
列名を「一次面接の実施数」に指定します。
今度は、一次面接の通過数を集計します。
一次面接に通過した人は「一次面接の結果」に値が入っているため、該当列の非欠損値の(行の)数を集計することで、一次面接の通過数を集計できます。
そこで、値に「(行の数)」を追加し、集計関数に「条件にあった行の数(COUNT_IF)」を選択します。
条件の設定ダイアログが開いたら、列に「一次面接の結果」を選択し、演算子に「欠損値(NA)でない」を選択します。
このとき、列に「一次面接の結果」を選択し、演算子に「等しい」、値に「通過」を選択することでも同じように、一次面接の通過数を集計できます。
列名を「一次面接の通過数」に指定して実行します。
最後に最終面接の実施数を集計します。最終面接を実施した人は「最終面接の実施日」に値が入っているため、非欠損値の(行の)数を集計することで、最終面接の実施数を集計できます。
そこで、先程と同じように、値に「(行の数)」を選択し、集計関数に「条件にあった行の数(COUNT_IF)」を選択します。
条件の設定ダイアログが開いたら、列に「最終面接の実施日」を選択し、演算子に「欠損値(NA)でない」を選択します。
列名を「最終面接の実施数」に指定して実行します。
これで月ごとの以下の指標を計算できました。
知りたいことが、特定の月に応募があった人の選考完了率であれば、このままでも十分ですが、もし「その月までに」応募があった応募者の全体に対する選考完了率なのであれば、月ごとの各指標の累積値を計算する必要があります。
そこで、今回は、応募者の全体に対する選考完了率を計算するために、各指標の累積値を計算します。
「応募日」以外の指標を選択した状態で、任意の列ヘッダーメニューから「表計算」、「累計」、「合計値」を選択します。
表計算のダイアログが開くと、全て列名に累積値を表す「_cum_sum」の接尾語が付いていることがわかります。
今回は、元の列を上書きたいので、「応募者数_cum_sum」の列名を「応募者数」に変更し、元の列名を上書きます。
同じように他の値の列名から「_cum_sum」を取り除きます。
全ての列名を上書きできたら、実行します。
なお、集計をした時点で「応募日」が昇順に並ぶため、「計算前にデータを並び替える」必要はありません。
これで、各指標の累積値を計算することができました。
最後に選考完了率を計算していきます。
まずは一次面接の選考完了率を計算するために、「一次面接の実施数」の列ヘッダーメニューの「計算を作成」の「標準」を選択します。
計算を作成のダイアログが開いたら、一次面接の実施数 / 応募者数
と入力し、新しく列を作成にチェックを付けて、列名を「一次面接の選考完了率」に設定して、この列の後に作るに「(最後の列)」を指定して実行します。
これで、一次面接の選考完了率を計算できました。
続いて、最終面接の選考完了率を計算します。「最終面接の実施数」の列ヘッダーメニューの「計算を作成」の「標準」を選択します。
計算を作成のダイアログが開いたら、最終面接の実施数 / 一次面接の通過数
と入力し、新しく列を作成にチェックを付けて、列名を「最終面接の選考完了率」に設定して、この列の後に作るに「(最後の列)」を指定して実行します。
これで一次面接と最終面接の選考完了率を計算できました。
今回は、紹介した応募者数だけでなく、人事の重要指標とその作り方を紹介する動画を公開しています。
ぜひ、ご覧ください!