SaaS KPI シリーズ -  MRR (月間定期収益)

MRR(Monthly Recurring Revenue / 月間定期収益)は、SaaSやサブスクリプション型の企業における経営の根幹を成す指標で、企業が毎月定期的に得られる収益の総額を表します。

MRRは、SaaS企業の収益の安定性と成長性を端的に表現する指標として、将来の収益予測や事業計画の立案において中心的な役割を果たしているため、MRRは、営業・マーケティング部門、財務部門、経営陣など、多くの担当者にとって重要な指標となります。

売切ビジネスとSaaSビジネスの違い

SaaSのビジネスモデルはソフトウエアやサービスの利用に応じて、月額や年額で顧客が費用を支払う購読型のビジネスとなり、従来の売切のビジネスとは大きく異なります。

例えば、月額1万円のSaaSを例に1人の顧客に注目すると、その顧客は費用を毎月支払うため、繰り返し収益を得ることできます。(このように繰り返し得られる収益のことをリカーリング・レベニュー(定期収益)と呼びます。)

従って、サブスクリプション・ビジネスでは顧客がサービスを継続すれば、最終的に得られる収益は増えていきます。

対して、売切ビジネスの場合、1月の収益だけを比べるとSaaSの収益よりも多くなりますが、顧客がサービスを継続すれば、売切ビジネスより多くの収益を得られることもあるわけです。

このように売切ビジネスでは収益を得ることができるのは1回きりですが、SaaSの場合、繰り返し収益を得ることになり、顧客の継続期間に応じて、得られる収益が変わってくることに大きな違いがあります。

MRR (Monthly Recurring Revenue /月間定期収益)

SaaSのビジネスではリカーリング・レベニューを顧客ごとに積み上げたものが各月の収益となります。

そして、この月ごとに得られる収益を**MRR(月間定期収益)**と呼びます。

またSaaSでは繰り返し収益が得られるため新規顧客が増えれば増えるほどMRR(月間定期収益)増えていくことになります。

言い換えれば、新規顧客からの収益が前月からの収益の増加分となるわけです。

このようにMRRの中でも特に新規の顧客から生み出される収益をニューMRR と呼びます。これらのメトリクスはSaaSのビジネスの中でも最も基礎的であり、重要な指標と言えます。

これらのメトリクスはSaaSのビジネスの中でも最も基礎的であり、重要な指標と言えます。

なお、多くのSaaSでは月額でサービスを提供するためMRR(月間定期収益)を利用することが多いですが、契約単位が年単位となるSaaSの場合はARR(Annual Recurring Revenue/ 年間定期収益) という指標が利用されることがあります。

このときARRはMRRに12(ヶ月)を掛けて計算できます。

MRRの計算方法

ここからは、実際のデータを使ってMRRの計算方法を紹介します。

今回は以下のように1行が1件の支払い情報を表し、顧客ID、支払い日、支払い金額などの情報を含むサブスクリプション型のビジネスの支払いデータを使ってMRRを計算します。

データはこちらのページからダウンロードできます。

今回のようなデータがあれば、チャートビューに移動して、月ごとに支払い金額を集計するだけでMRRは計算できます。

一方で、データを集計してMRRを計算したいこともあります。

そこでここからは、データを加工してMRRを計算する方法を紹介します。なおExploratoryで指標を作成するときには、2つの方法があります。

  • AIプロンプト:自然言語でデータを処理する機能で指標を作成する

  • UIメニュー:UIからアクセス可能なメニューでデータを加工して指標を作成する

こちらのノートではそれぞれの方法を紹介します。

「AIプロンプト」は BusinessプランPersonalプラン といった有料ライセンス、またはそれらのプランを トライアル中のユーザー のみご利用いただけます。

また、AIプロンプトはデバイスがインターネットに接続されている場合のみ利用可能です。

上記のプランをご利用でない場合、またはインターネットに接続されていないデバイスをご利用の場合は、「UIでMRRを計算する」のセクションに進んでください。

AI プロンプトでMRRを計算する

こちらのセクションでは、AI プロンプトを使った指標の作成方法を紹介します。(AIプロンプトの詳細については、こちらをご覧ください。

「AI データ加工」ボタンをクリックして、AI プロンプトのダイアログが表示されたら、以下のようなテキストを入力し、実行します。

月ごとにMRRを計算して

すると、MRRを計算するためのコードが生成されるので、結果を確認し、「ステップとして実行」ボタンをクリックします。

ステップが追加され、MRRを計算できました。

UIでMRRを計算する

ここからはUIでMRRを計算する方法を紹介します。

「支払い日」の列ヘッダーから「集計」を選択します。

集計のダイアログが開いたら、グループに「支払い日」を選択し、丸め処理に「月」を選択します。

MRR(月間定期収益)は、それぞれのユーザーが払った金額の月々の合計値になるため、値に、「支払い金額」を選択し、集計関数には合計値(SUM)を選択します。

続いて、列名をMRRに変更し、実行します。

MRRを集計できました。

あとがき

SaaSやサブスクリプション型のビジネスではMRR(月間定期収益)やARR(年間定期収益を伸ばしていくことが重要になりますが、その一歩として収益の成長に影響するコンバーション(獲得)やチャーン(解約・キャンセル)に関する指標をモニターすることになります。

この辺の指標は次回以降紹介していきます。


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