SaaSビジネスにおいて、ネットMRRチャーン率はMRR(月間定期収益)の減少率を表す重要な指標です。
この指標は、既存顧客の再契約による増収を考慮したうえで、解約やプランのダウングレードによる収益の損失の割合として計算されます。
ネットMRRチャーン率は、MRRがどの程度の割合で失われているか、すなわちビジネスの全体的な健全性を理解したいときに有効な指標のため、特にサブスクリプションベースのビジネスの経営陣、ファイナンス部門、カスタマーサクセスチームにとって、事業の持続可能性を評価する上で欠かせない指標となっています。
月次あるいは四半期ごとに定期的なモニタリングすることが多く、これは、顧客との関係性の変化や収益構造の変動を早期に把握し、必要な施策を講じるために重要です。
そしてネットMRRチャーン率は、以下のような計算をもとに求められます。
ここからは、実際のデータを使ってネットMRRチャーン率の計算方法を紹介します。
今回は、とあるSaaSの収益データを使ってネットMRRチャーン率を計算していきます。
このデータは、一行が特定の年月を表していて、列には収益に関する以下の情報があります。(データはこちらのページからダウンロードできます)
なおExploratoryでは、指標を作成するときに2つの方法があります。
AIプロンプト:自然言語でデータを処理する機能で指標を作成する
UIメニュー:UIからアクセス可能なメニューでデータを加工して指標を作成する
こちらのノートではそれぞれの方法を紹介します。
「AIプロンプト」は Businessプラン や Personalプラン といった有料ライセンス、またはそれらのプランを トライアル中のユーザー のみご利用いただけます。
また、AIプロンプトはデバイスがインターネットに接続されている場合のみ利用可能です。
上記のプランをご利用でない場合、またはインターネットに接続されていないデバイスをご利用の場合は、「UIでネットMRRチャーン率を計算する」のセクションに進んでください。
こちらのセクションでは、AI プロンプトを使った指標の作成方法を紹介します。(AIプロンプトの詳細については、こちらをご覧ください。
「AI データ加工」ボタンをクリックして、AI プロンプトのダイアログが表示されたら、以下のようなテキストを入力し、実行します。
月ごとにネットMRRチャーン率を計算して
すると、ネットMRRチャーン率を計算するためのコードが生成されるので、結果を確認し、「ステップとして実行」ボタンをクリックします。
ステップが追加され、ネットMRRチャーン率を計算できました。
ここからはUIでネットMRRチャーン率を計算する方法を紹介します。
今回のサンプルデータにはネットMRRチャーン率の計算に必要な全ての指標が揃っているため、チャーンMRRの列ヘッダーメニューから、「計算を作成」、「標準」を選択します。
計算の作成のダイアログが開いたら、計算エディ((チャーンMRR + エクスパンション) - リアクティベーションMRR) / lag(MRR)
と入力します。
なお、lag関数は前の行の値を取得する関数になるため、lag(MRR)
という計算式で、前月の顧客から得られた収益を計算できるわけです。
最後に、「新しく列を作成」にチェックが付いていることを確認したら、列名を「キャンセル率」に設定のうえ、「この列の後に作る」を「(最後の列)」に設定して、実行します。
ネットMRRチャーン率を計算できました。