マーケティング担当者の最も重要な役割は、自社の製品やサービスの認知度を高め、顧客の需要を創出することで、持続的な成長を支えることにあります。
そのため、マーケティング担当者は顧客のライフサイクルに合わせて、様々な活動をすることになります。
また、各ステージのマーケティング活動の最適化のためには、個々の活動に対する指標をモニターすることも少なくありません。
しかし、各ステージの最適化が必ずしも、購買サイクル全体を通した最適化には結びつくとは限らず、購買サイクル全体を最適化するためには、効率的に顧客を次のステージに誘導することが必要です。
そこで重要になるのが、それぞれのステージでのマーケティング活動が、いかに成果(次のステージへの移動)に結びついたかを捉える指標(KPI)を定義して、モニターすることです。
そこで、このノートでは、「トライアル」のステージの指標である、「コンバージョン率」を紹介します。
このステージにおけるマーケティングの目的や役割は、実際に製品やサービスを利用してもらい、製品への理解を深めてもらい、購買を決心いただくことです。
そこで、例えば、トライアルの延長を提案したり、お試し(初回)キャンペーンを提供したり、買い忘れのリマインドメールの送付などを行うことなります。
ここで気を付けなければ、ならないことが1つあります。それは、トライアル数が増えていても、コンバージョン(購買)数が増えていなければ、顧客購買サイクル全体の最適化にならないということです。
そこで、トライアルに参加した見込み顧客の中から、製品を購買した顧客の割合であるコンバージョン率を計算することで、トライアル数に関係なく、どれだけ効率的に顧客を購買まで導けているのかを理解できるようになります。
コンバージョン率のトレンドをモニターすることで、ビジネスの改善のためにいち早く行動ができるようになるわけです。
今回は、トライアルに申し込んだ見込み顧客のデータと、実際に製品あるいはサービスを購入した顧客のデータを使ってコンバージョン率の推移のチャートを作成していきます。
トライアルに申し込んだ見込み顧客
このデータは1行が1人の見込み顧客を表していて、列にはトライアルの開始日や顧客IDの情報があります。
実際に製品あるいはサービスを購入した顧客
このデータは1行が1人のコンバートした顧客を表していて、列には「顧客ID」や「コンバージョン」の情報があり、「コンバージョン」の列全ての値は「TRUE」になっています。
まず、2つのデータフレームを結合するために、トライアルデータの「ユーザーID」列のヘッダーメニューから「結合」を選択します。
結合のダイアログが開いたら、データフレームとして「コンバージョン」を選び、「顧客ID」をキー列として選択し、実行します。
2つのデータを結合できました。
サマリカードを確認すると、TRUEの割合、つまりは全体のコンバージョン率が33.6%であることがわかります。
最後に、コンバージョン率の推移を可視化します。
チャート・ビューに移動して、X軸に「トライアル開始日」を選択し、日付の単位に「月」の「丸め処理」を選択します。
続いて、Y軸に「コンバージョン」を選択し、 集計関数を「TRUEの割合」に選択します。
コンバージョン率の推移を可視化できました。
続いて、Y軸の目盛を調整します。
チャートの設定メニューから、軸タブからY軸を選択し、「0をY軸に含む」をアンチェックして、適用します。
コンバージョン率の推移を可視化できました。
最終月には、コンバージョン率は大きく改善しているように見えますが、コンバージョン率がばらつくのはよくあることなので、この差が注目に値するようなばらつきなのかを知りたいときには、XmRチャートが有効です。
そこでXmRチャートを作成するために、Y軸メニューからリファレンスラインを選択します。
リファレンスラインの設定ダイアログが開いたら、リファレンスラインのタイプに「平均値」を選択します。
続いて、範囲タイプに「管理限界(X)」を選択し、「上(下)範囲の中央線を表示」にチェックを付け、適用します。
XmRチャートを作成できました。
XmRチャートの結果から注目に値するコンバージョン率のばらつきは生じていないことがわかりました。