営業にとって最も重要なことは売上を増やすことですが、売上を増やすには2つの方法があります。
1つは「既存顧客」からの売上を増やすことです。
もう1つは「新規顧客」からの売上を増やすことです。
また、新規顧客の獲得について考えたときに、どれだけのマーケティング費用を掛けたのか、あるいは、どれだけの営業のリソースを割り当てたのか、というのは重要な視点です。
このことを、新規顧客の獲得にかかる平均的な費用が30万円のビジネスを例に考えてみます。
仮にこのビジネスでは1人の顧客から1年で得られる平均的な売上が、10万円だった場合、この顧客を獲得した年は、この顧客獲得の費用の30万円が相殺され20万円が損失となります。
また、この顧客が4年以上継続して同じ分だけの費用を払ってくれる保証はありませんが、4年間同じ分だけ、費用を払い続けて、やっと売上ベースでの費用を回収することができるわけです。
このように、「顧客獲得にかかるコスト」が大きければ大きいほど、顧客獲得にかけた費用の回収までにかかる時間は長くなります。
そのため、「顧客獲得にかかるコスト」と、「顧客あたりの売上」を計算、比較をして、現在の顧客獲得の効率が最適かを理解することが重要になるわけです。
「顧客獲得コスト」は、以下のように、ある決まった期間における、新規顧客の獲得に費やした総コストと、新規顧客数もとに計算することが可能です。
今回は以下の2つのデータを使って、「顧客セグメント」ごとの月次顧客獲得コストを計算します。
「注文データ」は各行が1つの注文を表し、列には、顧客ID、注文日、顧客セグメント、売上などの情報が含まれています
また「新規顧客向けのキャンペーンのコストデータ」は各行が月ごと、顧客セグメントごとの新規顧客獲得のためのキャンペーン費用を表しています。
今回は、以下のステップで、「顧客セグメント」ごとの月次顧客獲得コストを計算します。
今回は注文回数の計算を終えている前提で、話を進めていきます。まず、「注文日」の列ヘッダーメニューから「集計」を選択します。
集計のダイアログが開いたらグループに「注文日」を選択し、日付の単に「月」で切り捨てを選択します。
続いて、グループに「顧客セグメント」を追加します。
これは顧客セグメントごとに新規顧客数を集計するための処理です。顧客セグメントごとに指標に計算をする必要がない場合、この処理は不要です。
続いて、値に「顧客ID」を選択して、集計関数には「条件にあった一意な値の数」を選択します。
条件設定のダイアログが開いたら、列に「購買回数」、演算子を「等しい」、値に「1」を指定します。
最後に新しい列名を「新規顧客数」に設定して実行します。
これで顧客セグメントごとに新規顧客数を集計できました。
続いて注文データとキャンペーンのコストデータを結合します。
「注文日」の列ヘッダーメニューから「結合」を選択します。
結合のダイアログが開いたら、結合先のデータフレームに新規顧客向けキャンペーンコストデータを選択し、キー列に注文日を選択します。
続いて、キー列に「顧客セグメント」を追加します。
このとき、結合するキー列を複数選択しているのは、「顧客セグメント」ごとに「毎月」のコストのデータを結合するためです。グループごとに指標に計算をする必要がない場合、結合するキー列は「注文日」だけで問題ありません。
プレビューで結果を確認し、問題なければ実行ボタンをクリックします。
これで、顧客セグメントごとに月次の新規顧客数と、キャンペーン費用(コスト)をまとめることができました。
これで必要なデータは揃ったので、後は顧客獲得コストを計算します。
結合後のデータで、「キャンペーン費用」列ヘッダーメニューから「計算を作成」の「標準」を選択します。
「計算を作成」のダイアログが開いたら、計算エディタにキャンペーン費用 / 新規顧客数
と入力します。
新しい列名を「顧客獲得コスト」とし、「最後の列」の後に作成するよう設定し、実行します。
これらの手順により、月ごとに顧客セグメントごとの顧客獲得コストを算出することができました。
顧客獲得コストを計算できたら、後はこのデータを使って、顧客獲得コストの推移を簡単に可視化できます。