データサイエンス職の面接で見極めるべき4つの危険なシグナル

データ関連の仕事のオファーをもらい、いざ新しい会社で仕事し始めたところ、期待していたものと現実の間に大きなギャップがあり失望してしまうということはよくあります。そこで、どういったことがよく問題になるか、それらを事前に明らかにするために就活インタビューの際にどういったことを質問すべきかをまとめた記事があったので、こちらに要訳として紹介します。

以下、要訳。


1. データがない

入社したら、そもそも分析対象となるデータがまったくなかったり、または整理されていなかったりアクセスできなかったりするというのはよくあります。

これは、まだ顧客があまりいないスタートアップやデータを自社で管理していない企業などにありがちです。

  • どんなデータを収集しているのですか?またはあなたのシステムから取り出しているのですか?
  • どういった属性のデータがありますか?例えば、顧客、製品、注文など。
  • 毎日、毎週どれくらいのデータができますか?
  • 私が仕事を始めたとすると、どのようにデータを取り出すことができるようになりますか?

2. 価値を提供できない

チームが顧客やビジネスに対してどのように価値を提供するのかの計画しっかりしていない

数年前にある企業のデータサイエンスチームのディレクターと面接をした際に、次の12ヶ月のロードマップがあるのかと聞きました。彼は、チームの成長、多様性、テックスタックのアップデートなどの話に時間を費やすばかりで、私の質問に対して答えることがありませんでした。

そこで、そのチームはどのように顧客やビジネスに価値を提供しているのか聞いたのですが、彼には答えることができませんでした。これは危険なシグナルです。

データサイエンスプロジェクトは具体的な結果を出すことなしに、研究やプロトタイプなどにたくさんの時間を使ってしまいがちです。

しかし、いざビジネスがが余計なコストを削減せざるを得なくなったときに、まず先に削減されるのは、こうした顧客やビジネスに対して価値を提供できていないようなチーム、人材、プロジェクトなのです。

それだけでなくとも、こういった顧客やビジネスに対して具体的な価値を提供できていないようなプロジェクトで何年も過ごしていたと合っては、自分のキャリア構築のためにもよくないでしょう。

そこで、以下のような質問をインタビューの際にするべきです。

  • このチームはどのように顧客やビジネスに対して価値を提供しているのですか?
  • この四半期、そして今年度の計画、そして期待されている成果物は何ですか?
  • チームにとっての成功とはどんなものですか?
  • チームの成功を測るKPI(指標)は何ですか?

3. 期待と違う役割

多くの会社ではデータサイエンティストとデータアナリスト(分析者)が同じものとして使われています。

例えば、Facebookではデータサイエンティストと呼ぼれている人の多くは、データアナリストの仕事をしています。

同じように、リフト(Uberと同じ配車代行サービスを提供)はそれまでデータアナリストと呼ばれていた人たちの役割をある時急にデータサイエンティストと変えました。というのも、データサイエンティストと呼ばなくては、データアナリスト候補の人たちがオファーを受けてくれないからとのことでした。

さらに、キャリア構築のパスも重要です。

例えば、実際にビジネスで使える効果的な機械学習のシステムを構築できるようになりたいのであれば、最先端だとか研究だとかいうことを強調するような職は、そういったことを宣伝するためのプロジェクトに時間を奪われがちです。

逆に、研究や論文を書くのがあなたがしたいことであれば、レポート作成やエンジニアリングに関連することを強調している職は向いていないでしょう。

そこで、次のような質問をするべきです。

  • 最初の100日、さらに最初の1年の間に成果を出すべき仕事は何でしょうか?
  • この職でもっとも仕事ができる人は、どういったスキルと仕事に対する態度を持っていますか?
  • この職における成功はどう定義されていますか?それはどう計測されていますか?
  • 次のレベルに昇進するには、どういったことを証明することが必要となりますか?

4. 古いツール(ソフトウェア)

今の時代には通用しない古くて、さらにオープンソースのテクノロジーを使っていないツールを使わなければいけない企業があります。

そうしたツールを使いこなすためには多くの時間とエネルギーが必要となります。しかし、そうしたツールを使いこなすことができるようになっても、他の会社に行くと使い物になりません。そこで、こうした古く、今どきのデータサイエンスの世界では通用しないようなツールを使うことになるような仕事には注意が必要です。特に、Sから始まるツールのことを言っています。

そもそもそうした古くからあるエンタープライズ向けのソフトウェアは使いにくくストレスが溜まりやすいのに対して、最近のオープンソースをベースにしたツールは使いやすく、効率的で、仕事が楽しくなるという点も重要です。

  • 日々の仕事を行うにあたって使うことになるツールは何ですか?
  • データに関するテックスタック(システム、テクノロジー基盤)はどうなっていますか?

以上、要訳終わり。

訳者あとがき

今でこそだいぶ落ち着いてきましたが、それでもまだ「データサイエンス」という言葉は人によって解釈が大きく異なります。

私達は以前より、大きく分けて「データプロダクト」と「意思決定サイエンス」の2つのタイプがあると言っています。「データプロダクト」の方は、いわゆるレコメンデーション・エンジンやチャットボットなどを作るような仕事で、より機械学習よりで、さらにエンジニアとしてのスキルが要求されます。

一方、「意思決定サイエンス」の方は、意思決定やA/Bテストに必要な統計の知識、効果的なコミュニケーションのためのデータの可視化のスキル、分析と可視化のためのデータの加工のスキルなどが要求されます。

こちらのビデオでこの2つのタイプの違いをもう少し詳しく話しています。

データ関連の仕事を探すとき、少なくともこの2つの違いを意識して、自分がどっちのタイプとしてキャリアを構築していきたいのか、そして採用している仕事は自分にとってのキャリア構築に役立つのかといったことをはっきりとさせることが重要ですね。

さらに、2番めに挙げられていた点ですが、大学などのアカデミアではなく、企業で仕事するのであれば、具体的な「価値」を提供することができる仕事なのか、その成功はどうやって定義され、計測されるのかといったことも重要です。この点はついついその場の雰囲気や希望的観測などのせいで見落とされがちです。

現在世界的にどこの国も不景気になってきています。こうしたときにはビジネスの「価値」がはっきりしていないプロジェクトやイニシアティブといったものは削減されがちです。これからデータ関連の仕事を探す場合もそうですが、現在行っている仕事でも、いつもどういった価値を顧客やビジネスに対して提供できているのか、明確に説明できることが以前より求められていくと思います。


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