今日の中国の力を知る上で役立つ5つのデータ

現在USと中国は貿易戦争中にありますが、そもそもその原因は中国が政治的にも、経済的にも、強くなりすぎ、目下USの覇権を脅かすレベルにまで来たことにあります。そのことは何も急にそうなったわけではなく、徐々にそうなってきたわけで、USの前政権であるオバマ時代にはそのことがすでに顕著になっていたにも関わらず、USは行動に出るのが遅れました。そこで、現在のトランプ政権はUSにとっての最大の問題を直視し対策を講じているということなので、これは行くところまで行くのではないでしょうか。

そんな中マッキンゼーが、そうした中国と世界の関係の変化についての、China and the world: Inside the dynamics of a changing relationshipというレポートを出していたのですが、その中に出てきたいくつかの数字にあらためて今日における中国の力の大きさを感じたので、簡単に紹介します。

ビジネス

グローバル・フォーチュン500という収入ベースで世界のトップ500の企業リストがあります。2018年版ではそのリストのうち110社が中国と香港からのものです。かなり大きな割合を占めていますね。

ちょっと気になったので、こちらのページからデータをダウンロードしてチャートにしてみました。

アメリカとほぼ変わらないレベルなんですね。

データはこちらのページにアップロードしておいたので、直接ダウンロードできます。

環境

中国の炭素排出量はすごい勢いで伸びていて、それはすでに2016年の時点でUSを追い越し、現在は世界の全炭素排出量の30%近くを中国が占めているとのことです。

こちらもデータをこちらのWikipediaのページからスクレープして以下のように2017年の排出量トップ100の国を可視化してみました。Y軸が二酸化炭素の排出量ですが、単位はメガトンです。

これを見れば、現在の気候変動枠組みのパリ協定がいかに本当の問題から目を背けているかがわかると思います。先進国だけが地球温暖化対策として炭素排出量の削減にどんなに大きなゴールを持って取り組んでも、中国のような国が発展途上国として特別扱いされているような枠組みでは、問題を解決するという視点からはたいした意味がないと思います。

データはこちらにアップロードしておいたので、直接ダウンロードできます。

テクノロジー

以下のチャートはテクノロジー関連での中国産が占める割合を産業別に表したものです。1つ目のバーチャートの列が中国内でのシェアで、2つ目は中国の外の世界に占めるシェアです。

中国の国内ではどのタイプでも国産がものすごい大きなシェアを握っていますが、逆に半導体(Semiconductor)と航空産業(Aircraft)に関しては非常に小さなシェアとなっています。

さらに中国産のテクノロジーが世界の市場で占める割合となると、ソーラーパネル、貨物船(Cargo Ships)、スマートフォンなど以外はかなりまだまだ小さなシェアのようです。

中国政府によって指定された23のセクターのうち11では40%から90%のマーケット・シェアを国産メーカーが占めることをターゲットにした、「Made in China 2025」という計画があり、これはアメリカやヨーロッパの一部の国をいらだたせる原因にもなっていたりします。

消費者市場

中国の消費者市場はすでに海外の多国籍企業による進出が盛んですが、トップ10のセクターでは、そういった多国籍企業によるシェアは2017年では平均して40%とのことです。実はこれは日本と同じくらいです。

逆にUSの消費者関連のマーケットでの海外勢が占める割合というのは26%で以外に低いのにびっくりしました。

しかし、最近はこの中国でのトレンドも変わってきているようで、ここに上がっているカテゴリーでは過去数年の間に海外勢が占めるシェアは減少の傾向にあるとのことです。

観光客

中国からの旅行者は世界の多くの国にとって大きな存在です。日本にたまに行くと、銀座などでの中国人の観光客の多さに圧倒されますが、それは世界中のどこへ行っても同じようです。

中国人観光客による支出は、シンガポールやタイなどの国にとっては国内の個人消費の7%から9%と同じくらい大きなものだそうです。

ちなみに、Travel China Guideによると2019年は現在のところ日本が最も多い旅行先のようです。

このデータを以下のように可視化しました。

ところで、2018年と比べた増減の数値があったのでそちらも可視化してみました。

日本は8%の増加、アメリカは20%の減少です。

ところで、一番右のタイの65%の減少というのはすごいですね。

どうも、観光船の事故や、空港の警察官が中国人の旅行者を殴っているビデオがバズったことなど、いくつかの不幸な事件が重なった結果ということのようです。ただ、国の個人消費の10%近くが中国人の旅行者によってもたらされるのであれば、この現象のインパクトは大きそうですね。