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まだ存在しない仕事の準備ための教育をどうやって大学は生徒に提供すべきか

今日の学生が2030年に行うことになる仕事の85%が今日にはまだ存在していないといわていますが、それでは大学はどうやって生徒にそうした世界で生きていく準備をさせるべきなのでしょうか、という内容の記事がPBS(Public Broadcasting Service / 公共放送サービス)からでていて興味深いと思ったのでこちらで紹介します。

キーとしては、データ分析、デジタルマーケティングといった現在必須の仕事のスキルをどんどん積極的に教えていこうとする試みや、問題解決能力やクリエイティビティといったソフトスキルにフォーカスしていこうとする試みなどがあるようです。

データサイエンスやAIの世界、またシリコンバレーのスタートアップシーンはとにかく変化の早い世界ですが、アメリカの大学もそうした時代のチャレンジを受け止め、積極的に対応していってるところから学べることも多いのではないでしょうか。

以下、要訳。


How Colleges Are Preparing Students For Jobs That Don’t Exist Yet - Link

Institute for the Futureによると今日の学生が2030年に行うことになる仕事の85%が今日ではまだ存在していないとのことです。

たったの12年でそんなことになるとはあまりにも大きな数字に聞こえるかもしれません。しかし、例えば、ドローンの操縦士、ソーシャルメディア・マネージャー、アップの開発者、クラウド・コンピューティングのエンジニアなど今日では当たり前となっているような仕事は、ほんの10年ほど前までは存在しなかったのです。

多くの学校のプログラムは今日ある仕事ができるようなトレーニングを行っています。しかし、今日のようにかなり早いスピードで変化している世界では、学校で習ったスキルは数年のうちに使い物にならなくなってしまうことでしょう。

いくつかの大学は技術的なスキルを教えることに力を注いでいるのに対し、他の学校では、問題解決能力、チームで仕事をする能力といった今日だけではなく、将来にも役に立つであろうソフトスキルの習得にもっと力を注ぐことで他の学校との差別化を図ろうとしています。

教育と未来の仕事について研究している人たちは現在のような4年制の学校システムは大きく考え直される必要があると言います。教育とは大学を卒業する時に終わるようなものではもうないのです。

ユタ大学では新しいDegree(学位)Plusというプログラムを作って、仕事のスキルのギャップを埋めるための試みを行っています。メインの学位に付け加えるかたちで提供される8週間のコースでは、データ分析、ウェブデザイン、デジタルマーケティングなどを業界で実際に仕事をしている人たちから教えてもらいます。

追加のコースで追加のコストが発生しますが、多くの生徒はそれだけの価値があると考えています。例えば、人類学の学位を専攻している人たちはデータ分析を理解することによる恩恵を受けることができるでしょう。政治学を勉強している人たちはコンテント・マネージメントやマーケティングへの理解が、仕事を探すときや昇進を求める時に役立つことになるでしょう。

UCバークレー大学では学生主導での試みを支援しています。学生は、例えば「ブロックチェーンの基礎」、「AIのインパクト」といったカリキュラムを自分たちで独自にデザインしています。

UCバークレー大学の「教育の民主化」という名のプログラムは、標準的な大学のクラスでは教わることのないようなトピックを勉強できるだけでなく、どんな仕事でも貴重な価値のあるクリエイティビティを育むようにデザインされています。

「私達は子どもたちが仕事につくための準備を行っているだけではありません。私達は彼らが社会に何らかのかたちで大きなインパクトを与えることを望んでいます。」

とUCバークレー大学のチーフ・アカデミック・テクノロジー・オフィサーのJenn Stringerは言います。

「彼らは、10年、20年、50年先のどんな仕事であろうとそれらを行う用意ができているだけでなく、そうした将来の仕事を作る人たちになれるのです。」


以上、要訳終わり。

コメント

大学にいるうちからどんどんと現実の世界の仕事を学んでいくというのは素晴らしい試みだと思います。そしてこうしたときには積極的に世界で現在成功している企業からその道のプロを連れてきて教えてもらう機会を作っていくべきだと思います。

ビジネスのスピードはどんどん早くなってきているので、こちらシリコンバレーでもどんどんと新しいやり方が出てきています。それは、マーケティングにしても、プロダクトの作り方にしても、ビジネスの成長のさせ方にしてもそうです。そしてそこでのデータの使い方も、そのうらにあるテクノロジーだけでなく、手法自体もどんどんと進化していっています。

そこでその道のプロ、つまり机上の理論ではなく、しっかり仕事で成果を出している人たちから現場で通じる手法をどんどん習っていくべきだと思います。

また、本文の中にもありましたが、ソフトスキルというものの重要さは強調して余りあることはないでしょう。

問題解決能力、クリエイティビティ、アナリティカル・シンキングといったものは将来の仕事を考えたときにはとても重要になります。この辺を意識して、いわゆるリベラルアーツと言われる哲学、経済学、心理学といったものの勉強はどんな仕事をするにも大変役立ちます。

さらに今日では同じくらいの比重でデータ分析能力をつけるための勉強も進めるべきだと思います。これからの時代の問題解決と意思決定にはデータが必須ですから、最先端のデータサイエンスなりデータ分析なりをしっかりと教える体制が整っていないような学校にいる場合は、学生の方はそうしたことを学ぶことのできるインターンの機会を見つけるか、自分で積極的に勉強していくべきだと思います。

少なくとも、アメリカでは一部のトップクラスの大学ではそうしたことはすでに当たり前となっています。そして、現在のようなグローバル化された時代には、遅かれ早かれ、こうした生徒と将来競争することになっていくわけです。

私のやっているExploratoryでも2019年は学生向けのプログラムを発表する予定ですので、楽しみにしていてください!


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