今となっては「Software is eating the world(ソフトウェアが食べ尽くす世界)」というのはもはや当たり前感がありますが、現在は企業の競争優位はソフトウェアだけでなく、データを使ってどう効率的にプロダクトを改善していくことができるかが重要になってきています。つまり、Data is eating the world(データが食べ尽くす世界)の時代へ突入しています。
そうした時代にカスタマーから愛されるプロダクトを作っていくためには、これまでのソフトウェア時代のプロダクト・マネージャーでは十分ではなく、データを使ってプロダクトを改善し競争優位を作っていくための戦略を作れるデータ・プロダクトマネージャーが必要となります。
今日は最近シリコンバレーでよく聞かれるようになったこのデータ・プロダクトマネージャーという仕事がただのプロダクト・マネージャーとどう違うかについて書かれてたエッセイがあったのでここで紹介します。
Rise of the Data Product Manager - Link
データはプロダクト開発のコアである。
それはプロダクトの使用状況に関する分析、A/Bテストのような実験の結果の理解、またはダッシュボードをモニターするといったことだけではない。
それはデータのフローを使って何ができるのか、何ができるようになるのかに対しての理解を必要とするのである。
これまではプロダクトマネージャーと言えばビジネス、エンジニアリング、ユーザー・エクスペリエンスの3つの領域に関する理解を必要とする仕事であった。
データ・プロダクトマネージャーの場合はそれに加えて、データとデータサイエンスの領域に関する専門的な知識が要求される。
データプロダクトを作るにはデータ戦略が必要となる。
どのようにデータを生成し、収集し、さらにどう使うのか。こうしたことがどのように自分たちにとっての競争優位を生み出すのか。
ただ単にデータを集めて、あとで分析するためにデータウェアハウスに詰め込んでいるだけでは十分ではない。
データ・プロダクトマネージャーはなぜこうして生成されたデータが必要なのか、それがどうプロダクトの改善に役立つのか、なぜこうしたことが長期的な競争優位を生み出すのかといった質問に答えることができる計画を作ることに責任がある。
データ・プロダクトマネージャーはデータを集めることと使うことは全く異なる問題であり、それはトレードオフの関係にあり、さらに異なるエンジニアリングチームの助けが必要になるということを理解している。
データサイエンティストがデータ基盤に関する質問に答えることができるが、データ・プロダクトマネージャーはこうした議論で注視点的な役割を果たさなくてはいけない。というのもここではプロダク開発における様々なトレードオフが必要となるからだ。
機械学習は多くの問題を解決するのに役立つが、時には経験則をもとにしたモデルがふさわしいときがあるということを理解している。しかし、こうした経験則のモデルからいづれ機械学習のモデルへ変更するときが来るというのも知っているので、そのための準備を適切なタイミングで行うことができる。
データ・プロダクトマネージャーは自分の手を使ってデータを分析することができる。自分でSQLを使ってデータベースからデータを取ってくることができ、ダッシュボードを作ることができ、自分たちのA/Bテストのような実験を行ったときの結果を正しく解釈することができる。
誰かが、「データは自分で話す!見れば自明だ!」と主張するときに疑いにかかる。というのもこうした主張が正しいことはあまりないからだ。
人がデータを解釈するのであって、どのように分析が行われたのかを知ることは、分析の結果と同じくらい重要である。
データ・プロダクトマネージャーは、一つの数字を盲目的に信じるような「データ・ドリブン」の奴隷となってしまったような意思決定者ではない。彼らは適度に疑い深いデータの生成者であり、また消費者なのである。
データ・プロダクトマネージャーはデータサイエンティスト、エンジニア、デザイナー、マーケター、そして他のプロダクト・マネージャーの間で、要件を翻訳する。
データサイエンティストと一緒にデータにだれもがアクセスできるようにし、分析やモデリングのために使いやすくする。
データ・プロダクトマネージャーはデータサイエンティストではないエンジニアにどういったデータに価値があるのかといった仮定を勝手にさせるようなことはしない。
データ・プロダクトマネージャーはデータ、モデル、そしてアウトプットを生成するだけでは十分ではなく、こうしたものをビジネスモデルや戦略に落とし込まなくてはいけないということを理解している。
こうしたことから、私は個人的には優れたデータサイエンティストこそがこれからの優れたプロダクト・マネージャーのいい候補だと思うが、どちらにしても新しいタイプのプロダクト・マネージャーがこれから必要となってくることは間違いない。
冒頭でも述べたように、「Data is eating the world」時代にはそれにふさわしいプロダクト・マネージャーが必要となります。
ただ、そういう時代には全てのプロダクト・マネージャーがデータに対する高いリテラシーを持っているべきだと思うので、プロダクト・マネージャーとは別にデータ・プロダクトマネージャーという仕事があるというよりも、全てのプロダクト・マネージャーがデータ・プロダクトマネージャーにならなくてはいけないのではないかと思います。
もちろんこれは何もプロダクト・マネージャーだけに限ったことではなく、営業でも、マーケティングでも、カスタマーサクセスでもそれはいっしょで、全ての職種でデータとそれに関するテクノロジーに関する高いリテラシーがこれからますます要求されるようになってくるでしょう。
ただ、プロダクト・マネージャーは言ってみれば組織の中では、ミニCEOみたいな部分があって、プロダクトのロードマップだけでなく、ビジネスモデルやビジネス戦略に関する責任も持っているので、よりデータに関する知識、経験そしてスキルが求められるのではないでしょうか。
また、エンジニアリングとビジネスを結ぶ役割でもあるので、アナリティクス・トランスレーターとして、データサイエンスのテクノロジーや手法に関するしっかりとした理解が求められ、なおかつこの領域での優れたコミュニケーション能力が求められます。
現在こういった仕事ができる人はまだ限られているというのが現状なので、プロダクトやスタートアップに興味のある人はこうした切り口から入っていくというのがキャリアの形成、今後の成長にはいいのではないでしょうか。
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