ファッション業界もデータを使ってトレンドを理解する時代

ファッション業界こそ、クリエイティブな世界なので、データとは相性がよくなさそうですが、それでも確実にその波は来ているようです。

ちょっと前になりますが、Vogueビジネスで「Analytics are reshaping fashion’s old-school instincts」という記事があって、その中でブランドやデパートがデータやアナリティクスを使ってファッションのトレンドを追っていると言う話がありました。

(ところで、Vogueビジネスなんてものがあったんですね。しかもよく見ると、「Data」というセクションがあったり。チャートが貼ってあったらどんな記事でも、この「Data」というカテゴリに入るようですが。)

ただ、トレンドを作るといったクリエイティブな作業がデータやアナリティクスに置き換わるということではなくて、むしろファッション業界ではトレンドを追いかける、モニターするというのがビジネス上重要で、そこでは、トレンドを追うプロの人がデータやアナリティクスを使ってトレンドを客観的に理解し、そのタイミングをより正確に予測できるという話です。

この業界向けのアナリティクス・ベンダーもいろいろあるようで、主には検索エンジン、ソーシャルメディア、eコマースでの売れ行きなどをモニターしてこれからどういうトレンドが出てくるかというインサイトを提供しているようです。

ドメイン知識を持つ人間アナリティクスを使うから効果が出る

こうしたアナリティクスによるトレンドの予測というのはそれだけで使っているだけではなく、やはりブティックやデパートなどにいるトレンドを追っているプロが持っている知識と一緒に使うことで効果を発揮するようです。

例えば、Debenhamsというデパートで働くAngela Baidooは、「下着を普段着として着る」というトレンドを2016年の時点ですでにキャッチしていて、2019年の秋冬のタイミングで買い始めるべきと提案していました。しかし、その後アナリティクスのサービスから得られたデータによると、TopshopやZaraといった他の小売りがすでにそういった物を売り始めているということで、2019年の春夏のタイミングに早めたとのことです。

「データはこれから来るトレンドがあったときに、それがいつ大衆マーケットでヒットするのか、またはそのトレンドがいつ終わるのかというタイミングを予測する時に非常に役立ちます。」

とは、WGSNというトレンド・フォーキャスティングを提供する会社のインサイト部門トップのAndrea Bellの言葉です。

ブランドにとっては自分たちでトレンドを作り出すことが重要ですが、アナリティクスはトレンドを発明することはできません。

「グッチをみてみろ。ここ数年の最も大きい影響力だが、彼らはこれから何がトレンドになるかなど気にしていない。ただ、砂の中に旗を立てて、これがこれからのトレンドだ!というだけだ。」

とは、Neiman Marcusというデパートのエグゼクティブ、Ed Burstellの言葉です。

その彼も、データや予測を専門とする、The Future Laboratory や J. Walter Thompson Intelligenceといったサービスからのインサイトや、カルチャーのインフルーエンサーからのインサイトを使い分けて、トレンドをモニターしているとのことです。

トップラクスのファッション・ブランドもデータを使ってトレンドを追い始める時代に

この手のサービスは多くのファッション・ブランドに使われているようですが、トップクラスになればなるほど、さすがに使っているとは言いたくないでしょう。

それでも中にはデータやアナリティクスを使っているということを、公に認め始めるブランドも出てきているようです。

MarniはEditedというサービスを使って、プロダクトのポートフォリオを作るのに参考にしたり、コレクションの価格を決めたり、ビジネスの機会や弱みを発見したりしています。

もとMiu Miuのアクセサリー・デザイナーのSofia Antonielliによるとすでに多くのブランドでは何らかのデータに関するツールを使い始めていてその使用はどんどんと増えていっているとのことです。

彼女はMiu Miu時代にはiCoolHuntのNextAtlas というソフトウェアを使っていたとのことです。これは30万人以上のインフルーエンサーとその人達をフォローしているひとたちの行動を追跡し分析するというソフトウェアサービスです。

社会的なシフト、例えばgender fluidity(性別という枠組みから脱する、女性か男性か定まりきらない流動的であるというあり方)、apocalyptic mindsets(世界の終末的な考え)、ビーガン(菜食主義)といったものを認識するのに使われたりします。

こうしたものは、トレンドを追っている専門の人であれば気づくであろうものですが、こうしたサービスは、Instagram、Tumblr、Twitter、Pinterestといったプラットフォームからインサイトを得ることでより速く、そしてより客観的にトレンドを発見、認識していくことができます。

データをもとにファッションのトレンドをつかむために知っておくべき6つのツール

最後に、記事の中にも出てきていましたが、ファッションのトレンドをつかむために以下のツールがよく使われているとのことです。

  1. Spate:オンラインの行動のシグナルを使って食品、ビューティ、ファッションの分野でのトレンドを予測するサービス。現在、ベータ。
  2. MakerSights: 過去の売上データと照らし合わせることで、より正確な消費者のフィードバックをプロダクトを作る人達に提供するためのサービス。
  3. Google Trends: Googleの過去の検索結果よりキーワードのトレンドをつかむことができる。
  4. Edited: 世界中のブランドから何が在庫にあって何が売れているかという情報を集め、リアルタイムで提供。
  5. NextAtlas: ソーシャル・メディアのインフルーエンサーからこれから出てくる新しいトレンドを発見するためのサービス。
  6. Pinterest: Pinterest上での行動より顧客がどういったことに興味を持っているのかを理解できる。

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